かぎろい灯火の投稿作品一覧
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叶わない恋だと思い知ったけど
君が好きなんだよ 好きだったよ ずっとずっと
諦めなくちゃとはわかっているけど
時間をください すぐには断ち切れないよ
悲しみに潰れそうな心 まるで被害者ぶって
死んでしまおうかなんて 本気で思ったりもして
でも結局生きてる僕は 大袈裟なだけさ
笑う頬に流れる涙が 強が...82.結局生きてる僕の泣き言
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桜花の宴(えん)がありました
母親違いの兄上の
東宮(こうたいし)さまのご所望で
源氏は一さし舞いました
その夜 源氏は藤壺へ
会いたい方に会えなくて
帰る途中に弘徽殿へ
一人の姫に出会います
藤の宴へと招かれて
あの夜の姫を見つけます...8.花の宴・反し
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一
桜花の宴が内裏であって
帝の左に東宮(こうたいし)さま
帝の右には中宮(きさき)即ち
藤壺さまのお席があった
東宮(こうたいし)さまの母の女御は
おもしろくなくお思いになる
右大臣さまの姫君で
帝の最初の女御となって
帝の最初の皇子(みこ)を産み...8.花の宴
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かつて華美を尽くした屋敷がありまして
それは見事な滝が庭園にありました
ほらごらん そのあたり 跡がわかるだろう
こう落ちてあちらへと続いていたんだね
もはやきらめく飛沫が散ることはなく
心地よいせせらぎも耳には届かない
むきだしの川底に草が生い茂る
在りし日の面影はどこに探せばいい
過ぎ去った景色...55.名こそ流れて
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紅葉の季節の催しで
練習のときも本番も
何より評判だったのは
源氏の君の舞でした
藤壺さまの若宮が
無事お生まれになりました
源氏の君にそっくりな
光り輝く皇子(みこ)でした
帝はたいそう喜ばれ
源氏は心騒ぎます...7.紅葉の賀・反し
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一
十月十日を過ぎた頃
朱雀の院と呼ばれる御殿に
帝がおいでになる予定
はっきりとした記録はないが
そちらにお住まいになっていたのは
どうも帝の父君らしい
臣下が大勢付き従って
舞など披露するのだが
外に出られぬ女御更衣(おきさきがた)は...7.紅葉の賀
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やりたきゃやればいいだけと
強気な顔の追い打ちより
うまくいかないものだねと
一緒の溜め息をこぼしたい
二つの切な望みを前に
一つだけだと選ばせる
冷たい世界に生きていても
せめて僕らは身を寄せ合えるはず
君がついに諦めると
同意した夢でも...君を一人で戦わせない
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見せてあげたいなって つぶやきが聞こえてた
紅く彩られた秋の山
いいもの見られたねって ふたり笑い合うけど
分かち合いたい人が 他にもいるみたい
もう一度来なよ あの子誘って
この景色が変わらないうちに
聞いて もみじ葉よ もしも心があるのなら
ずっとそのままでとは言わないから
あの子を連れて戻って...26.もみじ葉よ待っていて
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病気の治療に訪れた
山で見かけた姫君は
源氏の君が恋い慕う
藤壺さまの姪でした
藤壺さまにそっくりで
おそばに置きたく思ったが
姫はまだまだ幼くて
とても妻にはなれません
源氏の君の奥方は
大臣さまの娘御で...5.若紫・反し
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一
源氏の中将 瘧病(びょうき)になって
祈祷を受けに北山へ行く
そこでみつけたある家を
そっと覗けば尼君と
かわいい姫がおいでになった
何故か姫から目が離せない
はっと気づいたその理由
源氏は叶わぬ恋をしていた
帝の妻こと父の妻...5.若紫
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困ってほしいわけじゃないけど
困っているのが可愛くて
弱い姿をさらけ出す
足掻くあなたが懸命で
眉をひそめる一方で
思わず頬が緩みます
中でも一際好きなのは
隣りで呆れる友達に
頼って縋るところです
今日も仲良い二人でいてね...不器用な人へ
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むかし帝に愛された
身分の低い桐壺さま
みなの嫉妬にさらされて
はかなくこの世を去りました
忘れ形見の光る君
聡く賢く愛らしく
誰もが笑みを誘われる
後ろ盾こそないものの
桐壺さまを懐かしむ
帝のもとに新しく...1.桐壺・反し
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一
いずれの帝の御代であったか
一人の帝に女御更衣(おおくのきさき)が
お仕えしていた頃のこと
まことの后は未だ決まらず
身分の高い女御もいれば
身分の低い更衣もいたが
帝に誰より愛されたのは
父を亡くした一人の更衣
内裏に数ある御殿のうちの...1.桐壺
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寄せては返す波が
このごろやけに荒れているね
強い風に煽られては
岩にぶつかり散っていく
岩はびくともしないのに
風がやまないものだから
どうにもならないと
目に見えているのに
何度も傷ついて また
くりかえすんだ...48.岩うつ波の砕けては
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変わらぬ日常 いえ、いつもよりも
心憂いことが今は多いかしら
溜め息こぼして目を上げたそこに
咲き匂う君をみつけたわ
あはれと思へ山ざくら花よ
わたしが君を愛おしむように 君もわたしを
誰にわかってほしかったということではないけど
君は見てくれてるねって ふと嬉しくなったのよ
呼びかけに聞き入るよう...66.あはれと思へ山ざくら
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会うは別れの始め
そう昔から言うように
出会った人々はいずれ必ず
別れゆくもの
旅立っていく人も
故郷へと向かう人も
きっと一度は足を止めるでしょう
さよなら告げに
これやこの これこそが
行く人と別れるところ...10.別れてはまた出逢う
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休んでおいで 焦らずに
一人でだって歩いてみせる
当然隣りにいたはずの
大事な人の姿が消えて
きっと不安に震えたでしょう
それでもあなたは踏み出した
そして迎えた今日の日は
歓喜の満ちる復活のとき
あなたが守ったその場所に
いるべき人が返り咲く...その場所を守った人へ
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ため息満ちる昨日が 期待をかけた今日が過ぎ
涙でくらした今日が 希望を託す明日が来る
出逢う前を思い出せないほどに
あなたに夢中なのに
どうにも自由の利かない日々は
難波潟の葦の ほんのひとふしほどの
短い間でも あなたに逢いたい
あなたに逢わぬまま 過ごしていくなんて
なんてつらいことでしょう
迫...19.ほんの少しの間さえ
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袖ひるがえし 少女子(おとめご)が舞う
華やかな楽の音
実りを祝う年に一度の
神に捧ぐ舞よ
そうは聞くけれど本当かしら
あんなにきれいなのは
きっと本当の天女なんだよ
地上に降り立った
天つ風よ聞こえるか
はるかな空の あの雲の通い路を...12.どうかあの雲の通い路を
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新たな日への希望のせて 朝が幕を開ける
過ぎ去りつつある夜のあと 浮かぶ有明の月
あの日の記憶を呼び起こす あの日と同じ空
あなたが僕の人生から こぼれ落ちていった
僕にとっては突然の 終わりの宣告だったから
整理のつけられないままに 立ち止まってるよ
あなたを引きずって
つれないあの夜明けより 暁...30.暁ばかり憂きものは
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一つ一つの仕草を追って
もっと眺めていたくって
そんな風に笑うんだ って
目を留めたのが最初です
心許した仲間の前で
生き生きとした見慣れぬ姿
望んだ人のそばにいますか
時にはしゃいで時にふざけて
センスが光る さりげなく
くつろぐあなたの愛おしさ...控えめな人へ
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こんなにも熱くあなたを愛していると
幾千の言葉を並べて主張しようか
並べても並べてもきっと言い足りなくて
言葉がどんなに無力かを思い知るだろう
かくとだにえやは言ふ こんな風に、と
譬えることもできぬ激しい恋を
あなたは知らないでしょう
僕の燃える思いを
心を灼き尽くして
なお已まずに焦がれていると...51.言葉にならぬ燃える思いを
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まばゆい半袖光をはじく すれ違いざま目を細め
日傘の下には麦わら帽子 ちょっと気が早いね
覚えず足が止まるのは アイスクリーム屋の前
月替わりのフレーバー 今なら何があるのかな
めんつゆの香りがいつになく 恋しくなったりして
氷たっぷり冷やして お昼はおそばにしようか
夏が来たのさ 春過ぎて からり...2.夏が来たのさ
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君と出逢えた奇跡を
それとも そう 運命を
幸運を噛み締めては
感謝しているんだよ
その隣りにいられる喜び
その手を取ること許される名誉
誓った言葉 嘘じゃない
日ごと新たにする決意
君だけを愛し続けると
僕がよそを向くときは...42.波はあの山を越えない
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魅力的な人 惹きつけられる人よ
それは本当 確かなの
つい頷いてしまいそう
あなたの隣りで過ごせる日々は
きっと夢のようでしょう
否定できない憧れに胸が弾む
だけど本当は聞いてしまっているの
あなたのせいで悲しい思いをした子たちのこと
音に聞く 噂にも名高い 高師浜の波が
袖を濡らして返すよう...72.噂のあなた
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いつまでだって待ちますと
思っていたのは本当だけど
優しい嘘じゃないわよねって
ただそれだけが不安だったの
これが最後と予感しながら
またねと手を振る別れのように
お帰りなさい お帰りなさい!
表舞台へ あなたの場所へ
割れんばかりの拍手で迎え
拝見しましょう かつてのように...帰ってきた人へ
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眠いのならどうぞ 他意はないよなんて
恍けて差し出す あなたの腕枕
うかうかと応じて 寄り添ったりしたら
どう言われるかしら まあ危ない
あなたのことじゃない わたしが困るのよ
噂が立ったら どうしてくださるの
せっかくですけど だめよだめ
傷つく名前が惜しいもの
自分を大事にしたいのよ
軽率なこと...67.だめよだめ
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ほら あちらをごらんよ
山の向こうの山の
あの高い峰の上に
わかった? 見えるでしょう
桜が咲いているよ
離れた場所からの景色もきれいだね
時を忘れて眺めてたいね
手前の山に霞が立って
隠してしまいませんように
ねえ 知っているかしら...73.どうか霞よ立たないで
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その曇りなく前向きな
明るいあなたが胸を打つ
回しているよね手際よく
よく気がついて細やかで
探り探りの沈黙も
口火を切って取り除ける
見ているだけで元気になるよ
あなたがそこで 笑ってる
可愛いなって微笑みながら
胸に抱きます 憧れを...いい子のあなたへ
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異なる道に進んだと
寂しい思いで聞いたけど
目の端よぎった今のあなたが
変わらぬ姿で時を戻して
幼い日々の憧れが
昨日のように蘇る
わたしの視界を外れても
あなたはあなたの道を行き
違う形で輝いていて
同じ熱さで魅了する...かつてのヒーローへⅡ