「お疲れ様でしたー!」
「おつかれー」
「今日も疲れた~」
「これからどっか呑みに行くー?」
そんな声が飛び交う、午後8時。
私は早速キヨテルさんに仕事が終わった事をメールで知らせた。
「ルカ、誰にメールしてるん?」
「わ!?」
カイトが私の携帯を覗き込んできた。
「おっ!キヨテルに?俺あいつにルカのメアド教えちゃったしな~」
にやにやしながらカイトは言う。
「も、もう!何で勝手に教えてんの!」
私はカイトを責める。
すると、カイトはやはりにやにやしたまま答えた。
「だってあいつが知りたいって言うんだもーん」
「えっ・・・」
キヨテルさんから?
てっきりカイトが勝手に教えたのかと思っていた。
「カーイト!呑みに行ーこ!!ルカもー!!」
メイコが右手をぶんぶんと振って、私を呑みに誘った。
「いや、私、今日は・・・」
「メイコ」
カイトは素早くメイコに駆け寄り、耳元でこそこそと話した。
「あ、そっかぁ~・・・」
メイコはカイトから話を聞くなり、カイトと同じにやけ顔になって私に言った。
「残念だけど、それなら仕方ないね!また今度にしよ!!あ、がくぽはー?」
「がくぽならさっき、これと帰ったけど」
メイコの問いに、同期の男性社員があの女の子のデスクを指差して答えた。
「はぁ~?何よ!せっかくいいお店見つけたのに!!」
「いいじゃん、俺ら二人で行こうぜ。じゃあなルカ!がんばれよ」
カイトはメイコの肩を抱き寄せながら、オフィスから出て行った。
「ねぇ、あのさ・・・」
「ん?何?」
私は同期の社員に聞く。
「あの、がくぽってあの子と二人で帰ったの?」
「あぁ、何かあの女とその他2名仲のいい女と帰ってったよ」
「そっか・・・ありがと」
同期の社員も帰り、他の社員もいなくなってオフィスには私一人になった。
あの女の子と二人っきりだったら嫌だけど、まぁ3人、がくぽも含めて4人なら、どこかに呑みに行って終わるだろう。
その後二人きりでどこかへ行く・・・なんて事は無いと思う。
だって・・・
(私はがくぽの彼女だもん・・・)
この前ヤッちゃったのは、きっと気の迷いとか、お酒のせいとか・・・
私の事嫌いになったワケじゃ・・・
・・・・。
~♪~♪
思わず肩がびくんと上がる。
一人きりのオフィスの中で自分の携帯が鳴るのは、やっぱり少し怖い。
『L公園で待ってます』
キヨテルさんからだ。
そうだ、早く行かないと・・・!
私は鞄にファイルや書類を詰め込んで、急いでオフィスから出た。
公園は、会社から徒歩15分ほどのところにある。
高いビルが建ち並んでいる大都会の真ん中にあるにもかかわらず、緑が多い公園だ。
よーく目を凝らしてみると、背の高い影が遠くに浮かんでいた。
影は、私へ近づいてくる。
「ルカさん!」
「キヨテルさん!」
スーツの上に深い青色のマフラーを巻いて、顔を赤くしているキヨテルさんが、笑顔で私に話しかけてきた。
「こんばんは。すみません・・・待ちましたよね?」
キヨテルさんの真っ赤な顔と真っ赤な手を見ると、長い間待ってくれていたことが分かり、申し訳なく思った。
「いいえ、全然。僕からルカさんを誘ったので」
長い間待っていてくれていたにも関わらず、キヨテルさんは嫌な顔一つも見せない。
「もっとルカさんとお話してみたくて・・・」
「え!?」
「あ、え!?い、いや、その!!あのっ!!!」
私は、自分でも顔が赤くなるのが分かった。
男の人からこんなことを言われたのは、初めてだった。
キヨテルさんの顔もますます赤くなっていた。
「こ、この間メイコとカイトの話をしたじゃないですか。ルカさんの学生時代の話とかも、いろいろ聞きたいなぁと思って・・・」
キヨテルさんは一気に言って、耳まで真っ赤になりながら肩を上下させた。
何も言えず、気まずい沈黙。
「じ、じゃあ、どこかのお店で・・・ここ、寒いし・・・」
沈黙を破ったのは私。
キヨテルさんはほっとしたように、じゃあ近くのカフェでと言って歩き出した。
私もそれに着いて行った。
「あはははは!」
「おかしいですよね!それで・・・」
カフェに入った後、キヨテルさんはコーヒー、私はミルクティーを頼んだけど、お互いほとんど手をつけないまま長い時間話し続けていた。
学生時代の事、仕事の事、友達の事・・・
いろいろな話をした。
キヨテルさんは高校教師の中では結構イジられキャラで、撮影の時にいたリンちゃんやレン君、他の生徒達からもよく話しかけられるらしい。
「キヨテルさんは、学校の中に一人はいる面白い先生なんですね!」
「いや、全然ですよ・・・この前なんて、髪切った女子生徒に髪すっきりしたねって言っただけなのにどこ見てるんですかなんて言われちゃうし・・・」
私はまた笑った。
今日、この時間で何回笑ったか分からない。
「あっ!もうこんな時間だ!そろそろ帰りましょうか」
時計を見ると、11時を差していた。
あれから二時間以上経っていることが信じられなかった。
「そうですね」
私たちはほとんど手をつけていない無駄なコーヒーとミルクティーの会計を済ませてから店を出た。
帰り道も、話が絶えなかった。
ふいに、さっきまで楽しそうに話していたキヨテルさんが、真顔になり、前を向いて歩き出した。
どうしたんだろうと疑問に思いながら、辺りを見回した。
(げっ・・・)
ここ、ラブホ街!!
ピンクやら黄色やら、柔らかな甘ったるい色合いのライトが、看板を照らしていた。
また気まずい沈黙が流れる。
向こうから、見覚えのある二つの人影が近づいてくるのが分かった。
私はキヨテルさんの腕をつかみ、動かないようにしっかりと固定した。
「ル、ルカさん?」
「すみません、少しだけ・・・」
人影が私たちの横を通り過ぎた。
二つの人影は、ラブホテルに入っていった。
(嘘・・・)
嘘だ。
そんなはず・・・
「ルカさん!?」
キヨテルさんは人影が見えなかったらしい。
私の目からは、ぼろぼろと涙が零れ落ちる。
止めようと目に力を入れても、涙は溢れてくるばかりだった。
ホテルの中からは、まだ二人の声が聞こえた。
その声に、ますます泣けた。
「が、く・・・ぽ、なんっ・・・で・・・・?」
なんで、またその子とホテルに入るの?
私じゃ、だめなの?
「・・・キヨテルさん」
「はい・・・?」
私はキヨテルさんに真正面から抱きついた。
「抱いて!!」
「!?」
「私を、抱いてよ!!」
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ご意見・ご感想
華龍
ご意見・ご感想
・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!(絶句ッッ!!!!!!
な・・・・・・ん、て事…を・・・・?!!!!
がくぽはもっと分別があるのかと思ってた…
いや、無いか←反語?
やっぱキヨテル先生、良いです~(●´ω`●)
今なら、救世主に見えるよ!!!
何というか、ルカ×キヨテルだとすごく温かい雰囲気が見えてくる……!!!!!
最後やばい!!!ルカしゃん!!!!ちょっと、大胆すぎ!!!!wwww
でも、最後のルカしゃんの言葉にpcの前で奇声を上げてしまった自分、乙
次の展開が…すっごく気になる!!!!待ってま~す^^
2010/10/28 03:18:21
どーぱみんチキン
ルカ×キヨテルは、確かに私的にもほのぼのした感じがします(●´艸`)
こんばんは、ふみゅれす(´▽`*)
まさかのルカしゃん最後の一言、やっぱり大胆でしたかwwww
自分的にこれが精一杯です。なんかこの先書くとしたら恥ずかしくなっちゃって・・・(´・ω・`)<ヘタレ乙
でも、次は自分なりに頑張ってみようかな・・・と思っています(●´▽`)b
2010/10/30 18:22:21