光の射す窓際。
カーテンが涼しくなびいて、
揺らめく影。
さえずるように風鈴が鳴く。
風に誘われて雨の匂いがしてくる。
「ああ、雨が降るのだな」
と感じた瞬間。
雨は嫌いではなかった。
静寂のように感じられるとき、
うるさく鳴り響く雨音。
でもそれは心地よかった。
雨を見るとやはり思い出す。
あの日見た夢を、
曇天の中見た、
一筋の光のような夢を。
しかし、夢は瞬く間に遠のく。
いつか雨は止んでしまうのだ。
止まない雨はない。
それが、私を傷つけることを、
みな知らない。
雨が降っている時にこそ、
上を見上げるのだ。
代わり映えのない、
1面の青空など、
みな見あげようとすらしないだろう。
眩しくて、煌めいている。
どうしても自分と比較してしまう。
晴れ渡る空。自分。
美しい太陽。自分。
空にかかる虹の橋。自分。
どれもが自分が劣っているように見える。
しかしどうだろう。
曇りくすんだ空。自分。
虹で歪んだ雲。自分。
土砂降りの後のアスファルト。自分。
どうしてか釣り合って見える。
やはりそういうものなのだ。
私は曇り空が好き。
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