1/128ズラし

PCが古いせいかどうかわからないが、音を鳴らすにもパワーを使う
ようで、音が何重にも重なる場合、重なった音は弱くなる。
なのでバズドラとスネアが丁度重なってしまうと相殺されて音が
弱くなる。最近の外国の音楽を聴いていると昔懐かしいロジャーの
ドラムっぽいのを聴くことがある。80年代DURAN DURANのサウンドに
近い音だ。これは懐かしいというか聞きなれた音だったがよく聞いて
いるとスネアが明らかに先に聞こえてバスドラが後から鳴っている。

今頃になって気が付いたが人間が出す音は合わせようとしていても
必ずしもバスドラとスネアが一致して出ていることは少ない。
人間がすることだからちょうどなんてことはむしろあり得ない。

ところがDTMの場合、電子のタイミングで音を出すから人間がで出来ない
音を出せてしまう。しかし、そのせいで音が相殺されてどんなにエフェクト
で圧掛けてもそれ以上音が大きくならない、迫力のある音が出せない
場合があった。プロの使う機材があるならともかくノートPC一つで
音を鳴らしている身分だと贅沢なことは言っていられない。

そこで意図的に音をズラして人間が出している音に近づけたらどうなるか
やってみた。CUBASEで言うところの1/128か1/64の微妙なズレだ。
何のことかと思うかもしれないが音符の配置の密度の話だ。
1/8や1/16というのをよく使うはずだがクオンタイズのことだ。

エレメンツタイプだと1/64までしか使えないがアーティスト以上なら
1/128まで細かく配置できる。

ドラムの場合、バスドラが基準ならここは既定の配置で丁度に音を
刻んでいくが、スネアだけ1/128早めに鳴らすと同時ではなくちょっと
でもズレているので音が重ならない。重ならなければバスドラは
単独で鳴っていることになるので音の相殺がないということになる。
ところがこれはあまりズラし過ぎると今度は本当の音のズレになって
しまい、聞こえが悪くなる。やっても1/64が限界だろう。

私の場合、理想のスネアを実現するために2種類のスネアを使っている。
別々の音源からチョイスするので音色を2つドラムで使う。
シンバル系の音も別回路にする時もあると3種類を使うこともある。
スネアは最初のヒットインパクト感と余韻の部分(スネアの裏について
金属製のバネ)の長さを重視しているので2種類にしてある。
最初のスネアを1/128前へ余韻部分を1/128後にもってくる。
バスドラが基準位置なのでそれよりも1/128より前か後かにする。

この1/128ズラしは他のことでも使えるようで、歌唱でもメインボーカルを
基準にコーラスを1/128前にするとちょっとだけズレている分、
聞き取りが安くなる感じがする。

追記ですが、バスドラの音を標準位置に持ってきていることを前提に各メロディラインも1/128前にズラした方が綺麗に聞こえる。
ここにも「人間らしいゆらぎ」という言葉を使いたいが、演奏している時はどんなに優秀な演奏者も1/128くらいのズレはあると思う。前にずれるのか後ろにずれるのかはともかく一音の狂いもなく他の音と同時に出るはずはない。DTMやボカロ楽曲が機械的で嫌だと言われる理由はそこにある。

別に機械音でもいいと突っぱねるのも良いが、問題なのはそれを使い分けているかどうか、認知し、この曲は機械音っぽうしたいからそうしているという意志があるなら良い。ツールである以上、表現の幅は広い方が良いから使い分けが必要ということだと思う。別に嫌いな奴は聴かなければいいというのも良いがこれだけ魅力的なツールを限定した使い方で、限定した人にだけ届けるのはもったいない。

変な話、老後の生き方というのは若い人には遠い未来の話だろうが、定年になって生き方を見つけられない人は多い。バンドでもしようかと思っていても環境が許さない場合の方が多い。
そう言った時に音楽を作る気持ちさえあればどの年齢からでも始められるこれらのツールは表現力のバリエーションも無限だということを知らない人に知ってもらうには作る側が(素人でも)その可能性を提示することが「オレ、私、にも出来るかも」と思わせるきっかけになるのでは?と思っている。

だからこういった技法とかテクニックは「意図して使っているかどうか」は重要だと思う。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

HOW TO:クオンタイズの1/128ズラし

特にバンドサウンドを実現するには「人間らしいゆらぎ」が必要になる。
機械は1か0かでしかないが人間には0.5とか0.25とかが存在する。そのゆらぎのようなものを
表現するにはクオンタイズ(音符の長さと置く位置の細分化)1/128という微妙なズレを入れることで機械的な感じを軽減できる。その考察と方法。

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投稿日:2024/05/29 09:00:01

文字数:1,821文字

カテゴリ:その他

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