時々思う…金持ちのやる事は気に喰わないって。ましてやそれが半端じゃないスケールだったりしたらいっそ笑える。と言うか笑う。
「ははははは。」
「どうしたの?ゼロ、水玉のキノコでも食べた?」
「帰る。」
「駄目よ、呼び出されてるし車で迎えに来てくれたんだから。」
レイは何故落ち着いてるんだろう?この度胸分けて欲しい!門から玄関迄車で移動する家って何だよ?!山丸ごと家ってアリかよ?!漫画じゃないんだから!ああ、軽く眩暈がして来た。
「あ、水影姉弟ーお前等で最後だぞー早く入れ入れ。」
「スピーカーで命令するな!どっから見てんだよ?!」
旅館顔負けの駄々っ広い建物を歩く事数分、何やら広間みたいな場所に通された。見ると適合者の皆とそれから見た事無い奴数名が居た。と、俺達が入ったのを見計らった様に奥のドアから幾徒と数人の人が入って来た。
「あぁっ!ユアンとキラ!」
「はにゃ!知っててくれたんだ!嬉しい~!彗音キラです!」
「凄ーい!本物?!握手して下さい!」
「こちらこそよろしく…って、ちょ…痛い痛い…。」
最近よく見る新人アーティストの二人だった。聖螺を始め皆が思い掛けない二人に沸いていた。しかしこの状況下で何故歌手を呼ぶんだ?想像も付かなくてそのまま疑問を幾徒に投げ掛けた。
「どゆ事?」
「大雑把な質問だな。」
「いや、この前の話と俺達の集合と歌手って全然接点無いだろ。」
「ヤクルの言葉からヒントを得た結果だ。言魂を集めるには場所が要るが人も要る。
大勢の人間が不自然無く集まり且つ人の意識が集中する場所、で判るか?」
人が不自然無く集まり且つ意識が集中?なぞなぞじゃないよな…ピンと来る様な来ない様な…?考え込んでいると鈴々が授業の如く手を上げて言った。
「はいはーい、特売タイムサービスとかバーゲンとか。」
「ああ、確かに鬼気迫る物を感じ…って違う!」
「お祭…。」
「大体正解。まぁ祭りと言うかゲリライベントだな。野外ステージとネット配信を使って
大衆の『意識』や『興味』を材料に言魂を一点に集中させるのが目的だ。」
「え?それ観客大丈夫なの…?」
「そりゃそうでしょ?だって怪我人とか出たら大変だし…。」
皆の苦笑混じりの声の中笑顔の幾徒から意外な言葉が出た。
「何にもやってません。」
「は?」
「幾徒…念の為もう一回。」
「いや、本当に何もやってないんだよ。」
自信に満ちた笑顔でしれっと言われてその場に居た殆どの人間が固まっていた。勿論俺も。
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