「何を言ってるのよ」
リンは少しバカにするように笑いながらいった。
「私は王女よ?召使の貴方の言うことなんて聞くわけ無いじゃない」
「……王女様」
レンが王女の手に触れると、リンは「いやっ!」と叫んでその手を振り払った。
「嫌よ!貴方が何をしたっていうの?何で私の身代わりにならなければいけないの?貴方は何故逃げないの?何故……」
リンの大きな瞳は揺れ、涙が溢れていた。
レンは決心をして、リンを抱き寄せた。リンはビクッと身を固め、動かない。
「ちょ……」
「君に伝えておかなければいけないことが有る」
スウッ。
レンは息を吸って、真実を伝えた。
「僕は、リン。君の双子の弟だ」
「―え?」
リンはきょとんとする。しかし、次の瞬間「何言ってるのよ」と小さく呟いた。
「入れ替わる為の嘘?そんなのバレバレよ」
「嘘じゃない。僕等は小さい頃…まだ赤ん坊の頃に引き離された」
レンはそう言うと、髪を結んでいた物を解いた。パサリと微かな音がして、肩にその金の髪が落ちる。
「そん……な」
「これで信じてもらえる?」
リンの顔は驚愕に染まっていた。
髪を下ろしたレンの姿は、リンを鏡に映したように、本当にそっくりだった。
レンはニコリとリンに向かい微笑む。
「王女様―いや、リン」
レンは自分の召使の服を自室から取り出してくると、リンの腕に押し付けた。
「ほら、僕の服を貸してあげる」
「これを着てすぐお逃げなさい」
「っ!」
リンの瞳から溢れんばかりの涙が流れる。その涙は次々と頬を濡らし、床に落ちる。
レンはリンの自室に入り、ドレスを着、そして今リンが付けているのと同じ髪飾りを付けた。
「……はは。僕がいる」
「レンッ……」
リンの着替えた姿は、絶対にばれないくらいにレンに似ていた。
レンは悲しげに微笑む。その間にも国民はもう王宮内に入ってきていた。
レンはリンに気づかれないように扉をチラッと見やると、リンに優しく微笑んだ。
「……リン。逃げて」
「いや!いやだよレン!」
しかしレンはつかつかと飾って有る銅像に向かい歩き、そしてその銅像を横にずらした。そして、ずらすとそこに通路が現れた。
「ここは、僕や重臣しかしらない特別な通路だ。ここを通って逃げて」
「でもっ―レンは」
「大丈夫。僕も後から行くよ」
レンがそういうと、リンは少し安堵したようで「絶対だよ?」といい隠し通路へと走っていった。
……バイバイ、サヨウナラ。
レンはその後姿を、微笑んで見守った。
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