その一方で、団長室へと呼びだされたレンとフーガの2人は、カリスマ騎士ローランドから話を聞いていた。膝を組んで長椅子に座ったまま、ローランドが話を進める姿は他の騎士では敵わないオーラが放たれている。

「ところで、2人はコラツィオーネがまだだろう?。これを食べるんだ」と言いながら手渡したのは粉砂糖をまぶした揚げパンである。


レンとフーガはボンバを手に入れた


「ありがとうございます」

 朝食を調達できたレンはローランドにお礼をする。ちなみにボンバとは、丸い形をしたドーナツのことである。物騒な名前が付いてはいるが、立派な食べ物アイテムだ。

「イルヴァルス大陸に住むヒトはな、菓子パンを食べて朝がスタートするんだ。カリスマ騎士である俺も、朝は甘いものじゃなければならない」

「団長はなぜ…ぼくたちへ親切なのですか……?」

 フーガは思った。雇われ近衛兵とゆう臨時の立場なのに、目の前に居る男は救いの手を差し伸べてくれるからだ。それも多くの部下を抱える騎士団の長なので、この優しさには裏があるんじゃないかとだ。

「これは親切ではない」

「……違うのですか?」

「カリスマ騎士である俺が、部下の1人や2人を管理できなければ、このローランドの名に傷がついてしまう」

 まさにこのひと言、カリスマオーラを背後に放ちながらの名言であった。

「元ネタになったヒトを意識しすぎじゃないッスか!」

「元ネタを意識だと? 違うなソレイユ弟。このセカイには2種類の男がいる。俺か、俺以外かだ」

「そっそうなんッスね……」

 少年はツッコミをしたい所であったが、カリスマの名言に圧倒され肯定せざるを得なかった。

「腹ごしらえが済んだなら“夜会”についての説明をするぞ」

「サブクエストについて…ですね……」

「まず君たち2人は、パレードが行われる時間帯は待機しろ。理由についてだが、新人騎士(ナイト)の存在を知られたくないからだ」

「ということは、僕たちは寮のなかに居たらいいのですか?」

「そうだ。夜になるまでヒマだと思うが、まずこのマニュアルを読むんだ」

 レンはローランドから【騎士の心得】と書かれた本を手渡された。騎士の心得なるアイテムには、高級そうな黒い革で製本されている。

「ローランド団長。このマニュアルを読んだあとは、どうやって時間を潰すんですか?」

 どうやらレンは寮内で待機させられることに不満があるようだ。少しでも外に出て、フォレスタ・キングダムの祭りを楽しんでみたいからである。

「ならばプレステクラシックを渡そう。これなら暇潰しに問題ないだろ?」

「問題アリすぎですから!。なんで暇潰しにゲームなんですか!」

「そうだよ…ボーイ……」

 ローランドから与えられた暇潰しアイテムに異議を唱えるレンへ、フーガがストップをかけた。ここはどうやら大人の対応をしてくれるのだろう。

「ほら、フーガさんもプレステで暇潰しなんかできないって言ってください」

「ローランド団長さん……。素晴らしいアイテムをありがとうございます♪」

「礼ならいい。ナイトになるお前が喜んでくれるならな」

「なんで大人のあんたが丸め込まれてんだよ!」

「ぼくはね…小さい頃に母さんからゲームを禁止にされて…それ以来、ひとりで遊べるアイテムがなかったんだ。でも、これがあればゲームができるんだよ……」

「ダメな大人じゃないッスか!」

「カリスマである俺のオススメは、ワイルドアームズだ。グッズを駆使して謎を解け」

※ワイルドアームズ SCEが1996年に発売した名作RPG※

 夜会の説明を受けた2人は団長室から去ろうとする前に、ローランドから簡単な依頼を受ける。

「そうだ。部屋に帰ったならばリーダーのフジタとソレイユ姉に伝言を伝えてくれ」

「わかりました。伝言を言ってください」

「フジタとソレイユ姉は近衛兵として城の警備をすること。なお、警備中は買い食い禁止だ……とな」

「なんか団長さん、あの2人の性格を知り尽くしてますね」

「城の専属料理長のリッシモが、あのラガッツァたちマスカットつまみ食いシテ盗んだね! と俺に報告が入ったからな……」

 ローランドはこのとき、鋭くジッ……と音がする視線を2人に送っていた。

 ──なんかいろいろバレてるゥーっ!。昨日にリンがキッチンから拝借? してきた、ひと房30Gもするマスカットを食べてしまったことを2人は後悔していた。

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つまみ食いはついついヤッてしまいますね

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投稿日:2020/04/02 01:09:33

文字数:1,863文字

カテゴリ:小説

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