最近、レンはリンの夢をみる。
 ただのリンの夢なら問題はない。昔から、しょっちゅうみてきた。
 しかし、最近の夢はちょっと変なのである。変というか、昔なら夢にリンが出てきたよ。と話題にすることもできたのだが、最近の夢は、とてもじゃないが本人には打ち明けられない内容なのである。

 夢の途中で、レンは目が覚めた。心臓がばくばくと鳴っている。落ち着かせようと目を閉じて大きく深呼吸した後、上体を起こした。
 あたりはまだ暗いが、カーテンの隙間から、明けはじめた空のほのかな光が差し込んでくる。おかげで、隣で安らかな寝息を立て眠っているリンの姿が、暗いながらもはっきりと見えた。
 昨日―本人は否定していたが―リンは具合が悪そうだったのに、自分はあんな夢をみてしまうなんて。
 ぼんやりとリンを眺めながら、寝ぼけた頭で思い耽っていた。ふと、自分が、掛け布団の隙間からのぞく、リンのはだけた胸元をみつめていたと気が付いて、焦ってリンから目線を外す。
 レンは、また大きく深呼吸をした。
 まだ起きるには早すぎる。レンは用を足してから二度寝することにした。

 トイレから戻ってきて、レンはリンに布団を掛け直してやる。
 首元まで布団を掛けて、自分も布団にもぐった。
 ――最近、自分はおかしいと思う。
 リンの胸が膨らんできているのが気になったり、未だに自分の目を気にせず着替えるリンをみないようにしたりは前からしていたが、最近の自分はどんどんエスカレートしていっている。
 そのキッカケは、学校の友人たちとの会話で、リンの事が出てからだ。
 友人の一人が、リンのことをいたく気になっているらしく
「リンちゃんってかわいいよなぁ~。ふにふにしてそうだし。彼氏とかいんのかな~?」
 と、鼻の下が伸びきった顔で言っていたのを聞いてからだった。それからずっと心の中の疼きが増している。

 ずっと、リンが大切だった。自分がリンを守っていくんだと思ってきた。双子の姉であるリン。鏡で写したようなもう一人の自分。
 幼いころから、お互い同じように愛情を与え、同じように愛情を受け取ってきた。自分の分身。リンがいれば、他になにもいらない。ずっと離れることはないと信じていた。
 今の自分を知ったら……リンはどう思うんだろうか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【勝手に妄想】アドレサンス【3】

夢の内容はとりあえず察してください。


つづきます

閲覧数:1,105

投稿日:2010/09/23 16:19:37

文字数:958文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました