『夢の糸』
深夜に雨が降っていた
夢の中でその音を聴いていた
僕は必死に何かを追いかけていた
姿も見えないのに
心臓が痛い 絡み付く足
転ばないようにバランスを立て直す
遥か先に何か見える
黄色いパラソルが揺れる
打ち出す心音 追い返す風
雨が汗が目の中に流れ込んだ
見失うな もう決して逃さないぞ
誰かのものになる 誰かのものになる
魂は手の届かない 時空をさまよい続ける
僕は目覚めると寝転んでいた
気を失ったのだろうか
頭が痛い 痺れる体
空から垂れる一本の光る糸
遥か先に何か見える
黄色いパラソルが揺れる
打ち出す心音 雷が鳴り出す
無我夢中でその糸をよじ登った
諦めるな もう一度この手に掴む
誰のものでもない 誰のものでもない
パラソルの取っ手に 僕の指先が触れた
深夜に雨が降っていた
夢の中でその音を聴いていた
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