「貴方は・・・・・」
「お前に、ララと一緒に居る資格なんて無い」
少年は言う。
「聞こえなかったの?もう一度言う。お前に、ララと一緒に居る資格なんて無い」
「分かってるわ、そんな事」
「なら、何故此処に来た」
「心配だからよ」
「僕が居るから、此処は心配ない。お前は、今すぐ出て行け!!」
そう言うと、彼は私を無理矢理コックピットから押し出し、コックピットを閉じてしまった。
「貴方に、訊きたい事があるの」
『なんだ』
「貴方は、ルルなの?」
『そうだ』
「なら、なんで貴方は、此処に居るの?貴方の体は無かったはず」
『ララが、望んだから』
ララが、望んだ、その時、お母様が前に言っていた言葉を思い出した。
それに、ララの胸元には
エンジェストーンがあった。
なら、話のつじつまが合う。
「成る程ね」
『もう用は無いなら、僕はララを連れて格納庫に戻る』
「ユアさん!!一体何があったの!?」
私が戻って一番に来たのは、キリアちゃんだった。
「ああ、キリアちゃん。ララに、感情が芽生えて、それから」
「それから?」
「・・・・・・・」
私は言葉を濁した。
「キリアちゃん、私は、その事、知ってるよ」
そう言ったのは、意外にも、マイちゃんだった。
「さっき、私、見たの。丁度出撃してて、ユアさんが、何をしてるのか、気になって」
「いいよ、言って、私からは、言えない・・・・・」
そう言って、私は其処を離れ、ララのもとへ向かった。
「ララと一緒に居る資格は無い、そう言ったはずだよ。何で来たの」
其処には、案の定ルルが居た。
「ララが、心配だからよ、それだけ」
「そう」
その時
「・・・・・・・、ユア・・・・さん」
ララが起き上がった。
「ララ!!」
ルルはララのもとに近づいた。
「ルル。何で、此処に居るの?ルルには、まだ、体が無かったはずなのに・・・」
ララは、普通に感情のこもった声で話す。
本当に、ララに感情が出来たんだ。
でも、悲しい事で引き出されてしまった感情は、悲しい事に弱い。
そう思ってしまった。
「ユアさん、どうしたの?」
「ううん、何でもないわ」
「大丈夫、ユアさん、私と一緒に居ても、いいよ」
「ララ!!だって、こいつは、セリさんが殺されるのを止められなかったんだ!!あいつが、もたもたしてたから!!悪UTAUに、殺されたんだ!!」
「ルル!!戦いたくなかったの!!あの子達と、それは私も一緒だったの!!ルルは勝手に決め付けてる!!」
その時
「いてええ!!マイ押すな!!」
「いたたたた・・・・ごめんごめん、だって、見たかったもん」
「そういう問題か?」
出てきたのは、マイちゃんとサウ君。
恐らく覗き見していたのであろう。
「あ、えと、マイちゃん」
「ララちゃん・・・・」
「・・・・俺は帰るからな」
「ええ!!サウも一緒に居ようよ!!ララちゃん!!これからも宜しくね!」
「うん。宜しく、マイちゃん。サウ君」
その光景を、ルルは見ていて、こうつぶやいた
「ララ、幸せそう」
そして、その言葉を聞いたララは
「ルル、人を遠ざけても、楽しい事なんてないんだよ」
と言った。
その時、ドアから誰かが入ってきた。
「あ、あの、は、初めまして!」
入ってきたのは、最近出来た亜種。
光音キョウちゃんだった。
「は、初めまして。キョウちゃん・・・・だよね?」
「は、はい!」
「硬くならなくたって、いいよ」
「う・・・・うん」
「へえ、君が新しい亜種ねえ」
マイちゃんがキョウちゃんに話しかけた。
「貴方達は、戯音マイさん、サウさん?」
「そうだよ」
「そうだな」
二人は答えた。
「あ、そういえば、ララに、少し話があるんだ」
「何?」
「私が、貴方のマスター」
私は、オレンジ色の髪の毛をオレンジ色のリボンでまとめた。
そして、私の髪の色は茶色に変わっていく。前髪の一部は黒い。
「真音ラルよ」
「か、変わった?」
「ええ、私は、マスターとしては、ラルという名前よ。これはね、私の中にあるエンジェ族の力を抑えるためのものなの。これは、私の人間としての姿よ」
「へえ」
「あと、もう一つ、ララには、亜種ボーカロイド隊の隊長になってもらうわ」
「えええっっっ!!!???」
「ララちゃんなら、頼んでいいんじゃない?」
「大丈夫、補佐は僕がやるから」
「う、うん。分かった。やる」
現在、ララ。
「こんな事があったね」
「今見てみると、結構の事があったんだね」
そして、今なんだ。
未だに悪UTAUとの決着はついていない。
それが私の心をせかす。
「ララちゃーん!!」
「あ、マイちゃん、どうしたの?」
「どうしたの?って言ってる場合じゃないの!!」
「え?」
「行方不明だったルアさんが見つかったの!!」
また、何かが動き出す予感がした。
歌姫戦士ボカロボット第10話
10話になりました。
やっと現在まで時間軸が追いついた・・・・・。
次回予告↓
ララ「ラルの姉であるルアさん、今まで行方不明になっていた彼女が、何故今見つかったのか。彼女は何故行方不明になっていたのか。次回「姉の追想」ねえ、教えて、なんで、悪UTAUは生まれてしまったんですか・・・・」
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