そして、私は何事も無かったかの様に家へ帰った。
私の手元にはあの時の写真があるだけで、あの時に何かあったと言う記憶は無い。
けれど私の写真には時々見覚えのない「何か」が写っている事がある。
私は心霊現象は信じていないので写真に写っているのなら、その「何か」を見ていたはずなのに覚えていない
写真を撮った時には存在していた「何か」私の記憶からは消去されているそれは・・・
(・・・)誰かを呼ぶ声が聞こえた気がして突然思い出した
私が最近出掛けた際に撮った写真を眺めていた時、不意に名前を呼ばれた気がして振り返ったけれど
誰もいないそして前を向く、昔は良くこんな事があったそして前を向くとあの子がいた
あの子は私の目には他の人と変わらない人間に見えたけれど他の人にはあの子の姿が認識出来なかった
あの子は私の大切な友達だから皆に紹介しようとあの子の事を話しても誰も信じなかった
私はあの子の存在を皆に知って欲しくて、ある日思い付いたのがあの子を写真に写す事だった
そして私はあの子の写真を撮った、いや実際にはあの子が写真に写る事は無かったので
結局は背景の景色しか写っていない単なる風景写真が撮れた。
あの子は実態を持たない存在、いわゆる精霊だろうから当然の結果だけど、私は諦めなかった。
あの子をフレームに収めてファインダーを覗きシャッターを切る、その一連の動作はとても楽しくて
いつしか私は最初の目的も忘れて写真撮影に夢中になった。
私たちは色んな場所に出掛けて写真を撮り続けた、そんなある日あの子が途中でいなくなった
私は次に撮影する構図を探しながらあの子が帰って来るのを待っていたけれど戻って来なかった。
その日帰ってから撮影した写真を現像すると、写した覚えのない「あの子」が写っていた。
いや私はあの子をフレームに収めていたのだしあの子に向けてシャッターを切ったのだから
写した覚えはある。問題なのは何故精霊が写真に写っているのかだけれど・・・
その直後に私はあの子に関する記憶を失った。
そしてあの子、幼い私が「みく」と名付けた精霊との記憶を取り戻した今
私の手元にある写真に精霊「みく」の姿は写っていない。
私はもう一度「みく」に会えるのだろうか、もし会えたら一緒に撮影に行きたい。
もう一度その姿をフレームに収めて、でもシャッターを切るのはやめておこう!
何時かその日が来る事を信じて、私は今日も撮影に適した場所を探し続ける。
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ご意見・ご感想
みわみみ
ご意見・ご感想
なんと素敵なストーリー。
あの恐怖の体験が素敵な物語に脳内で変換されていきました。
ありがとうございます。
このような奇跡は望めなくとも、シャッターを切ることで得られる喜びを期待して今後も撮影に臨みたいと思います。
ありがとうございました!
2016/01/09 22:14:10
かじき色
みわみみさん、こんばんは
感想ありがとうございます、楽しんで貰えた様で良かったです。
少し補足です。この物語の設定では「精霊は写真に写らない」事になっています。
状況としては、写真に『精霊を封印』して精霊に関する記憶も封印されたと言う解釈です。
封印は誰が??精霊が願いを叶える為に、?「私」が精霊を写真に写す方法を調べて間違えた
写真に写っていた「何か」は、?だと精霊、?だと良く分からない
精霊「みく」とこまにさんが描いたイラストとの関連は不明です(多分、似ていると思います)
設定やストーリーを考えるのは楽しいですね、最後になりましたが投稿許可ありがとうございました。
2016/01/09 23:12:24