16歳のその秋のはじまりは、何かを予感するみたいに、世界中が完全な色に輝いて見えた。



「じゃあ、バイバイ。」
「うん、毎日送ってくれてありがと。」
「いいよいいよそんなの。毎日部活待っててくれてるからおあいこ!」
「そっか。じゃあまた明日ね。」
「うん、また明日!バイバイ!」


高校二年生の秋。私には「藤沢 健太」という彼氏がいる。
彼はサッカー部のエースで、私にはもったいないくらい素敵な人
私のとても特別な人。

そしてもう一人、私には特別な人がいる。
「ただいまー」
「あら、お帰りミノリ。今日のご飯はね…」
「なに!?ハンバーグ!?」
「正解!!よくわかったわね!」
「私の鼻はよく聞くんですぅー」
「そうねぇ。『食い意地だけは』あるものね」
「えっへん!」
「誉めてません!さぁ、ご飯にするわよ」
「えへへ…はーい!!」
彼女は「斉藤 和江」
女で一人で私を育ててくれている。しっかりもので優しい、自慢の母だ。

『いただきまーす!』
とても裕福とは言えないけれど、
それでも普通の女子高生でいられるには十分すぎる環境だった。
「あ、そうそう。ミノリ、あんた宛に手紙?が来てたんだけど…」
と、母はある一通の黒い封を私によこした。
「じゃあ、読んでみる」

てっきり、何か悪口がかかれているのかと思ったけれど、
手紙の中身はとても意外なものだった。

【10億円獲得のチャンス案内】


 おめでとうございます!斉藤 ミノリ様と藤沢 健太様。
あなた方カップルは私共の厳正なる審査により、
日本中のの100組のカップルのうちの一組に選ばれました。
お互いを深く愛し合い、その愛や絆を、誰よりも強く、深いことを証明して頂き、
その100組の中で見事、勝ち残ったカップルには、なんと賞金『10億円』を贈呈いたします。
つきましては、参加、不参加を以下の電話番号までおかけください。
 なお、不参加の場合は、お電話はいただかなくて結構です。

*なお、参加される場合でも、参加されない場合でも、この手紙のことは、決して公表しないでください。

締切は11月11日ちょうどとします。

斉藤 ミノリ様へ○×株式会社より。

それは、真っ白い紙に簡素な明朝体で書かれてある文。

「何が書いてあるのよ」
私は黙ってそれを母に見せる。
「なに、これ…」
「私が聞きたいよお母さん。これ…誰かのいたずらかな?」
「そうじゃないかしらね…でも、あなたと健太君の関係を知ってる人…よね。」
「私と健太のこと知ってる人かぁ…うーん…」
正直、サッカー部のエースだしかっこいいし、健太はモテる。
だから、いつかこういうことが起こることは、ある程度覚悟はしているつもりだったけど、
こんなことをする意味が私にはよくわからなかった。



この時はまだ知らなかった。
この一通の手紙から『最悪の悲劇』が始まることを…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

タイトル未定(これから決めようと思っている)

一応処女作です。
駄文で未完です。
一応続きあります。
どうか温かい目でお願いいたします。

閲覧数:51

投稿日:2014/11/05 22:14:48

文字数:1,205文字

カテゴリ:小説

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