街の隅で　生まれた風は
荷物　抱えた人の　背中押していく
街の隅で　生まれた風は
風車回して　幼子　笑わせる

　虹色の　鳥の羽を　少女の髪に　飾りつけて
　街によどむ　暑苦しさ　遠く　吹き飛ばす

その風は　君が起こした
優しさじゃなくて　思いやりじゃなくて
はじかれて　駆け寄っただけ
その風は　君が起こした
深呼吸じゃなくて　叫び声じゃなくて
ほんの少し　話しかけただけで


街のはずれ　開いた花は
疲れて歩く人の　足取りを軽くする
街のはずれ　開いた花は
甘い香り　街に漂わせる

　集まる　虫たちにも　日々の糧　分け与えて
　街に伸びる　長い影に　かすかな灯火

その花は　君が咲かせた
温もりじゃなくて　愛情でもなくて
なにげなく　光あてただけ
その花は　君が咲かせた
決心じゃなくて　勇気じゃなくて
ほんの少し　手を伸ばしただけで


その風は　通り過ぎて
その花は　やがて散って
君だけが　少し変わった
ただ　それだけ


その風は　君が起こした
優しさじゃなくて　思いやりじゃなくて
はじかれて　駆け寄っただけ
その花は　君が咲かせた
決心じゃなくて　勇気じゃなくて
ほんの少し　手を伸ばしただけで

ほんの少し　話しかけただけで