ぴしゃり、という音がした気がした。気がした、というのは実際にぴしゃり、等という音はしておらず私がそう感じたから気がした、と言っただけである。さて、そんなことはすごくええものすごくどうでも良いのだ、問題なのは今目の前にいる私そっくりの男から突きつけられたロイヤルファミリーの刻印のつけられた手紙。
「ねぇ、リンちゃん。これ、どういうこと?」
口元だけの笑みを浮かべ、彼はそう言った。
「レン様、人の部屋に入る時はノックを、とご両親に教えられませんでしたか?」
「ああ、教えられた、教えられたさ!だけど僕は親が言ったことに従った示しが君との婚約以外、ひとつもなくてね!」
「はあ、左様ですか」
「うん」
ここでご丁寧に頷くところがなんだから可愛らしくて、私は心の中で密かに笑った。彼はそれに気づいたかの様に、じゃあなくて!と言って再度手紙のことについて追求した。
「な、ん、でっ!王子から手紙が来てるのー!なんで宮殿に招待されちゃってるのー!しかも僕!僕まで!」
子供か、お前は子供か。本当に私と同い年なのか。
「それは、あなたが私の婚約者だからでは?要するにオマケとか」
「オマケっていうのが気に入らないな。寧ろ僕がメインじゃないの?」
「宛先には、私の名前が書いてありますね」
私がそこまで言うと、彼は頬を膨らませ、悔しそうに私に同意の言葉を述べた。口の端を少しだけ歪め、笑ったのを彼は見逃さなかった。眉を寄せ、私を睨みつける彼。
「それで、いついくのですか?」
「明日の6時から。ディナーを共にするんだそうだ」
「レン様、私どうしましょう。ドレスを、ドレスを新調しなくては」
「ああ、それなら僕が見立ててやるから大丈夫さ」
「ああっ、ごめんなさい。ありがとうございます、レン様」
あれ、私は今何に対してありがとうございますと言ったのだろうか。ああ、珍しく迂闊だった。こんな男にドレスを選ばせたらきっと破廉恥なものを選ぶに違いない。そうだ、だってこんな男なんだもの。
「・・・なにかとても失礼なことを考えているような気がするんだが」
「とんでもないですわ、レン様」
とんでもなくは、ないのだが。
「まぁ、いいだろう。さぁ、支度をしろ!さっそくだ!」
「かしこまりました」
少しずつ打ち解けているような。
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