いつも一緒にいた双子は、独りになりました。
皆は口に出さずとも、ピーターを見殺しに生き延びたスナッブルに冷たい目を向けました。
でもスナッブルは相変わらず粗野で、そんな仕打ちを気にもせずに独りで遊んでいました。
それから幾年が経ちました。
小さい頃に双子と仲が良かったナンシーが、留学から戻ってきました。
スナッブルは10年ぶりに幼馴染みに会うことになりました。
ナンシーは、双子の1人が死んだことを聞いてはいましたが、どちらが生き残ったのかは聞いていませんでした。
周りは誰も教えてくれないのです。
ナンシーは不思議に思いましたが、みんな曖昧な顔で、最後にひとつだけ、
「…スナッブルはピーターを見殺しにしたんだ」
と言いづらそうに答えました。
ナンシーは、何故生き残ったスナッブルを誉めてあげないのかと、それだけが気掛かりでした。
でも、スナッブルに会ってすぐにわかりました。
スナッブルは、そんな言葉を望んでいないことを。
「やぁナンシー」
「久しぶりね 元気だった?」
「さぁどうだろう?どう見える?」
「独りぼっちでとても寂しそうね」
「寂しい?どうして?いつも弱くてちょろちょろついてくる泣き虫がいなくなって精々してるよ!」
「やっぱりね」
「なに?」
「もう、泣いて良いのよ ピーター」
「…どうして?」
「誰もあなたを責めないわ だから泣きなさいピーター」
「…気付いたのは君が初めてだよ」
「バカね、みんなとっくに気付いていたわ みんな気付かないふりをしていたのよ」
「そんな!」
「必死なあなたを見ていられなかっただけよ さぁわたしのパーティーに行きましょう。そして、スナッブルに冥福を。みんなで祈りましょう」
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あとで聞いた話では、スナッブルは必死に1人だけ出られる穴を見付けて、ピーターを出してくれたのだそうです。
スナッブルは、ピーターが出られるように瓦礫を支えていた為、出られずにそのまま別れたきりだそうです。
ピーターは必死で涙をこらえ、スナッブルだと答えました。
ピーターは、それ以来、絶対に泣かなかったそうです
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