＊Rin side


真夜中のこと―――――


私は目が覚めてしまった。
レンが隣ですうすう寝息をたてていた。

人は寝ていると無防備で幼く見えるというけれど、やっぱりレンは少し大人びてるなぁと思った。

さっき髪を梳かしてもらった鏡台の前に立つ。





「え・・・・・・・？これ・・・私？」




鏡の前に立っているのは、レンとそっくりのはずの私。


でも今鏡の前にいるのは・・・・・・・見知らぬ顔。


いや、これは私。間違いない・・・でも。






体つきが女性らしくなった・・・・レンと全く似ていない、私。






「どうしてっ・・・」


いつの間に変わってしまったの？
私たちは双子なのに、どうしてこんなに似ていないの？


「・・・・・リン？どうした？」


いつの間にか起きたレンの囁く声はとても低い。


「レン・・・」


私の声は、昔と変わらない、高い声。









―――――嫌だ。変わりたくない。鏡に映ってるのは私じゃない！









「いやあああああああああああああああああ！」



置いてあったくしを鏡に叩きつける。


ガラスは無残に飛び散る。


「リン！？」

レンが心配そうに駆け寄ってきた。
私は声が出なかった。出せなかった。




＊Len side


リンの行動は僕にも分かることだった。
僕はもっと前に気付いていたけれど。




―――全てが食い違い始めていると。




１４歳といえば思春期。
心も体も成長する期間だといわれている。

身長も急激に伸びたし、声も低くなったし。


快楽に支配されそうにもなる。

実はリンと寝るのはもう拷問に近かった。

リンとくっついていると心が満足した。

同時に、リンを犯してしまいたいという衝動にも駆られる。

もう、リンが隣にいるだけで眠れない。

そんな日々が続いていたから・・・・・・




もういっそのこと、これまで僕らが積み上げてきた積み木細工の城・・・





〝仲良しな双子〟という名の城を崩して、






〝騎士と姫〟という名の城を積み上げていきたかった。