レイニィビターテイスト
ほろ苦い コーヒーの味 すぐに温まる身体
窓に手を 置いた跡は↑↓ 雨の景色映して
缶を投げ込んだゴミ箱 ガタンと空しく揺れる 残った熱を握り締め手を隠す
窓を開ければ弾丸 耳を支配する轟音 無差別に着弾する流星群
集中豪雨? ゲリラ豪雨? 実はスコール?
よくわからないけれども助けてよ!
風で傘壊れて 駅のベンチで二時間 中にあるのは自販機 何故かコーヒーオンリーなんでなんで!?
狂ったようにコーヒー 五分で十本も飲む 総額は1200円 窓の外ではまだ振りやまない雨
雨眺め ふと気が付く これはあの時と同じ
駅の奥 ぽつんと置かれた 金属製の傘立てに
張られた一枚のメモ 端には熊さんプリント 記憶にあるおじさんの行書体
彼の職業は駅員で (自称)世界を救った英雄 三度の飯より一杯のコーヒー派
けど不器用 目が赤い コーヒーと コミュニケーション
あのころは いつもいた 今はどこ?
彼の特徴は黒いロングコート
つまらない話です 傘を貸してくれただけ サイズは75センチ 当時の私が五人は入る
メーカーはハルバード 鉄の匂いが酷くて 持ち手だってボロボロで 少しだけ温かいのは何故だろう?
メモの内容は 「自販機の裏」とだけ ちらりとのぞくと 確かにあの時のボロい傘
ガタつくドア開いて 雨の弾幕をのぞく 何故か雨はもう小振りで 傘の必要もないくらいに
笑い声を上げて 勢いよく傘を開く 意味はもうないだろうけれど 誰もいないベンチにコーヒーを置く
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