注意。ネギトロ(ルカミク)で百合です。大丈夫な方のみどうぞ。
「できたっ」
どこからか針金とペンチを持ってきて、なかなか思うように曲がらないと悪戦苦闘していたミクは、ようやく何かが完成した様子で嬉しそうな声を上げた。
「ルカちゃん、見て」
石膏みたいに白くて細い指の中に閉じ込めていたそれに私が興味を示していることが分かると、どこか勿体ぶるようにゆっくりと指を開いた。
「あら」
手のひらの上に乗っていたのは、針金で作ったふたつの小さな指輪。
それも器用なことに、細かく曲げて作ってある台座には、色つきのガラスが嵌めこんであった。
「こっちはわたし。こっちはルカちゃんの色」
オモチャみたいな色をしたピンクと緑の石は、部屋の明かりを受けてキラキラ輝いていた。
「ルカちゃんには、わたしの色をあげる」
そう言って緑の石のついた指輪を私の小指に、ピンクの石のついた指輪を自分の小指にはめると、恥ずかしそうに微笑んだ。
その笑顔を見たとき、私の胸はとても幸福な気持ちで満たされるのと同時に、どうしようもなく不安な気持ちに襲われて、少しだけ泣いてしまった。
「どうして泣くの?」
ミクは頬に伝う直前の涙を指で掬い取って、私にそう尋ねた。
「…………ごめんなさい」
「こういうの、嫌だった?」
「違う。そうじゃないの」
私は首を横に振りながら、ミクの小指にはまっている指輪を見つめた。
嬉しいのに、それだけでもう、何もいらないくらい幸せなのに。
このまま一緒にいれば、いつか私の想いがあなたを汚してしまう。そんな気がして。
小指の先から染まっていくように、何よりもきれいで純粋なあなたの気持ちまで、すべて私の汚らしい色に変えてしまう、それが。
「…………怖いの」
押し寄せてくる不安に肩を震わせていると、ミクはそんな私の肩をそのか細い腕で抱き寄せて、小さな子供を宥めるような優しい声で囁いた。
「わたしはここにいるよ。こうしてルカちゃんに触れられる場所に」
ああ、そうだ。
私はいつだって目に見えないものばかりを怖がって、そのくせ目に見えないものしか信じることができない。けれど、彼女は。
ミクはきっと、確かに目に見えて触れられるものだけ信じている。
彼女の強さを私は愛おしく──…そして少しだけ悲しく思った。私なんかにはけっして汚されることのない彼女の色を握りしめて、せめてこの瞬間が少しでも長く続いてくれればと願った。
「ゆーびきーり」
小指を絡ませながら、ミクは内緒話をするように私の耳元で囁いた。
「何を?」
「ルカちゃんが一番欲しい約束でいいよ。何がいい?」
「そうね、じゃあ…………」
私は少しだけ思案して、他の誰かに聞かれることのないようにこの唇から彼女の唇へ、ふたりだけの約束を交わした。
End.
今書いている話がかなり長引いているのでまたまた再録から。
ぬるい百合。そしてくらい百合。ネギトロおいしいですもぐもぐ。
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