14 ネカマ その1
「え?misakiちゃんが男?」
「そう。アイツさ、女子大生とか言ってるけど、男なんだよ。」
「・・・・。」
「まぁ、たしかに大学生なんだけさ、あと年齢も20。それはあってるけど。」
「・・それ、本当ですか・・?」
私は少し震えながらターナカさんの話を聞いている。かわらず皿の上の肉団子を箸で掴んだままでいる。
「ああ、本当だよ。俺はアイツと地元一緒でさ、中学も同じなんだ。でな、たまたま久しぶりにパチンコ屋で見かけたんだよ。その後一緒に飯食いに行ってさ、最近何やってんのとか話してたらゲームの話しになって、面白そうだからアイツもネドゲやるって言い出したんだよな。それでこのギルドに来たんだよね。」
「そうなんですか・・。」
「それで、始めるときにさ、自分リアルでも女ってことでやるから人に言わないでって言われたんだよ。正直なところ別にそんなのどうでもいいじゃん。だけどさ・・、その後しばらくしてギルドに入って来たお前見てたら心配になってきたんだよな。」
「・・・・・。」
「何でかって言うとさ、アイツ変なバイトしてるんだよな。出会い系サイトの女役っていうの?恋人募集中な人達の集まりなんだけど、さくらって言うかやらせの仕込み的な人がいるみたいなんだよ。今彼氏いなくて募集中のギャルですみたいな感じのな。だけど実際中身男なんだよ。そういうの仕組んで利用者増やそうってやつ。その女役のバイトをmisakiはやってるんだよ。それでゲームでもネカマでやってるみたい。何でなのかはよくわからないけどな。でも、もしかしたら人騙すようなことして何かたくらんでるのかもしれない。アイツってそういうやつだからさ。」
「・・・・・。」
いぜんとして私は箸で皿の上の肉団子を掴んでいる。それは中でもたっぷりとあんがかかっている私に選ばれたベストオブ肉団子だ。
「それでさ、他の人にはこれ言わないでくれよ。アイツそのバイトの繋がりで他にも結構ヤバイことやってるみたいなんだよ。なんかな、AVとかさ、それも裏ビデオ関係、素人モノ、盗撮の仕事とかやってるみたいなんだよ。ヤバイけど結構いい金になるとかでさ。あと俺にな、知り合いで女子高生とか中学生とかいないかとか聞いてきてさ、何で?って聞いたら、仕事に誘ってみるとか言ってるんだよ。もし、いい子いたら絶対教えろとか言ってるしな。」
「・・・・・。」
「そんなやつだからさ、お前がアイツと仲良くしてるの見て同じ道に行ったらマズイなと思ってな、だいぶ前にさ、お前にあまりmisakiに近づくなって言いたかったんだけど、お前怒りだしたしな。でも別にたいして心配するようなことでもないかと思ってたんだよ、今まではな。でも今日さ、お前が女の子だって知ったらよ、ちょっとちゃんと教えといたほうがいいなと思ったよ。」
「・・・・・。」
「あれだよ、misakiだけには自分は女だって教えないほうがいいぜ。」
「・・・・・・。」
私は冷静に話しを聞いていたが怒りで震え始めていた。
「ただな、俺がこんな話をしたからっていきなりmisakiと絶交するとか、近づかなくなるとかしてほしくないんだ、もし、そうなると俺がお前にmisakiのこと話したって必ずばれると思う。アイツ人騙すのうまいだけあって、そういうのにスゲーするどいんだよ。だから、少しづつ距離をとっていくか、本当にヤバイことになりそうだったらもうあのゲームに来ないほうがいい。
じゃあ、余計なおせっかいだったかもしれないけど、心配だったからちゃんと話したからな。変なことにならないように気をつけろよ。あー俺ちょっと便所行って来るわ。」
そう言い残しターナカさんはトイレへと消えていった。
misakiちゃんが男・・それも変な仕事してるような人・・・。
14 ネカマ その2へ続く
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