ゴーン……ゴーン……
「レン、次はあっちよ!」
「ちょ、王女……」
今日のおやつの時間は、別の場所で行われることになった。
黄の国の隣国、緑の国。自然豊かで、何よりも国の全員が緑の髪という事が一番この国を目立たせている。活気に溢れた城下町は、黄の国では絶対に見れない情景だ。
そして、なぜこの場所にリンとレンが来ているのか。
本来ならばお忍びでもっと大人しくしている筈だが、リンの性格上いかんせん黙っている訳が無く。
そして、王女はいつものようにワガママを言って、レンとおやつを食べていた。……食費は勿論、レンに掛かっている。
王女という地位からわかるとおり、小市民の通うような店には絶対に行かない。行くのは高級店ばかり。リンが嬉しそうにおやつを食べる度、レンの所持金は羽が付いたように飛び去っていくのだ。
もう行った店は何軒かも数えられない程だった。
「王女…これ以上は流石に…」
「えーっ!」
リンはぶーと口を尖らせる。いくら王女付きの召使の給料でも、さすがにこれ以上は無理だった。
レンが必死に宥めるうちに、リンは拗ねながらも何とか呑んだ。
と……
「♪~♪~」
どこからか綺麗な澄んだ歌声が聞こえてきた。その歌声がするほうには、人だかりが出来ている。
腕に纏わり付くリンをやんわりと断りながらレンは、その歌声のする方へと向かっていた。
そして……レンはその容姿に、一瞬で釘付けになった。
「有難うございます!」
澄んだ青緑の、踝辺りまである髪を二つに分けて括ったヘアスタイル。白い肌、華奢ながら女性らしい柔らかさも感じさせる躯体。髪と同色の瞳。綺麗に整った顔立ちはリンの様な雰囲気でなく、「美人」や「綺麗」が似合う。
それに、容姿と見合った優しげな声と笑顔。それに、レンは釘付けになっていた。
「ミクちゃんの歌声は癒されるねぇ」
「さすが歌姫だ」
「そんな……」
困ったように苦笑して、手を振る少女…ミク。どうやら歌が上手く、町民たちに好かれているらしい。
「……レ、ン」
しばし見惚れていると、突然王女の声が後ろから発された。レンはビクッと肩を震わせて後ろを向く。
……そこには、今にも泣き出しそうな表情のリンが居た。
リンは、レンの服の袖をギュッと掴み、ミクの方に視線を向けている。
「リン……?」
「どうしたの?」と声を掛けようとして、そこで言葉を止めた。
……そこには、ミクと青い短髪の男性が、手を繋いで笑い合っている光景があった。よくみれば男性の方は、最近リンが想いを寄せているという青の王子だった。
リンの体は小刻みに震えていた。
「レン……帰る、わよ」
ぱっと顔を逸らしたのは、涙を見せたくなかったのか、それとも想いを寄せる人物が他の女性と仲むつまじげに歩いている光景を見ていられなかったのか。レンは黙ってリンに付いていった。
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