乾いた石階段を急かすように
かけ登って行くのは1つの黒い影
この町のジンクスによると とある時刻
神社に現るるは お狐様
どんな願い事でも叶えるという
「そんなことあるはずないじゃない」
私は1人 社(やしろ)へと走っていく
オレンジ色の景色が広がってる
ねえ お狐様 居るのですか?
私の願いを叶えてください
あなたは 何でも叶えられるのでしょう?
夕方の神社はすました顔
ふと 私のね隣にある
2つの石像が光を放つ
「我、この社の主なり」 だって
本当にいたんだ…! 驚嘆
「何故(なにゆえ)、我らを呼び出したのだ」って
二匹のお狐様は問いかける
友だちが欲しいから来たの 1人ぼっち
神社を訪れるは 女の子
そんな願い事でも叶えてくれる?
必死にすがりつく か弱い声に
二匹は互いに 顔を見合わせてさ
あたり一面ススキが広がってた
ねえ お狐様 叶えてよね?
それくらいさ簡単なことでしょ
あなたは どんな願いでも叶えられる
この町のなんだからさ
ふと お狐様 哀しんでた
私は何がなんだかわからない
「我ら叶えることは出来ぬ」 なんで
ジンクスは嘘なの…? 驚愕
ー我らは 願いを叶えることは出来ない
ー少女よ 自分の力を信じるが良い
ー我らは 夕方の社でしか姿を現せぬが
ーそなたは 常に他人(ひと)と共に有り
ねえ お狐様 ごめんなさい
私は気付いてなかったみたい
あなたは何でも叶えられるみたいだわ
この町のジンクスは本物ね
ふと お狐様 不思議がる
二匹は何がなんだかわからない
「我ら何もしてはおらぬ」 だって
お狐様がくれた… 勇気
気がつくと 辺りは暗くなり
傍らには2本のススキが落ちていた
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