全てが終わるその時はどうか                                              

「リン、調子はどう?」                                             

真っ白な病室に、一つ色が置かれた。鏡音レン、という色だ。彼は、黄色。とても、鮮やかだ。彼は全てが鮮やかだ。声、顔、表情、思想。私は色が分からない。私もきっと最初は彼と同じ色だったんだ。いつからなんだろう?分からない。色んな、色が混ざってもう分からない。でも、分からなくていい。                   

「普通。」                                                      

「そう。」                                                    
なんて味気のない会話なんだろう。                                             

「あっ、そうそう。この間ねー、ルカさんがー・・・」                                   

またその女か。あれは桃色だったな。春の色。綺麗だね綺麗だね。私、汚いね。汚いね臭いね汚いね臭いね醜い醜い醜い醜い醜い醜いあっははははは。あっははは。                                           

「あっ・・・ごめん・・・リン・・・。」                                        

彼は私に外の話をすることを嫌いなぜなら、私が「可哀相だから」」。あっはははははは。外に出たことのない私に外の世界の話をすると劣等感を覚えてしまうかもしれないから?うざいやめて。私は・・・私なのよ?ただの「病人」じゃないの。鏡音リンなのよ?あなたの双子の姉なのよ?ナゼ、私をワタシトしてミテクれなイの?教えてよ教えてよ教えてよ。どうしてこうなったのかなぜワタシだけなのかなぜお前はお前だけ・・・シアワセなの・・・?                                              

「ううん。気にしないで。」                                                

あー、死にたい。死にたいしにたいシニたいしにタい。あー、辛い終わらないおわらナイオワラナい。                            

「ごめんね。あっ!そうだ!今日、林檎持ってきたんだ。」                                  

「ありがとう。」                                                

私はレンの手から林檎を奪い取った。                                       

「わっ!リン!」                                                     

「なに?」                                                       

「なんでもない・・・。」                                                       

「そう。」                                                         

いかにも、話しにくいっていう顔をしている。私は林檎をかじりながらふと考えた。この白いキャンパスはいつ塗り潰されるのだろうか?私はナゼこんな無意味なことを考えているんだろうか?私はナゼこんな無意味なことを考えているんだろうか?それを疑問に思うことすら疑問に思えてきた。頭がパンクして死ぬことはできないの?うん、どうでもいいな。ドウデモイイナ。                                                            

「レン。」                                                    

「んっ?なに?」                                                       

「林檎ありがと。私の看病面倒だと思うから、帰っていいのよ?」                            

私がそう言った途端、彼の顔が悲しみに歪む。なによ。その顔。いやいややめて。お願い、私は悪くないのよ?ねぇ、なんか言って。誰でもいい。                                              

「リン・・・そんなことないよ・・・。」                                                     

そう言ってレンは私を抱きしめた。嘘くさいね。私は約束破った人の言うことなんて信じないよ。                       

「嘘つき。お母さんに言われたから来たんじゃないの?」                                   

「違うよ。」                                                                   

「嘘つき。私がいなくなったらルカさんといくらでも愛し合えるね。お邪魔虫はさっさとこの世から退場しなくちゃね。」                                                     

カナシイ台詞。でも、笑っているのが自分でも分かる。疑問を持っても仕方ない。何も考えずプカプカ浮くように生きていればいい。そしたら、アッと言う間に終わるんだ。きっとそうだ。そうじゃなきゃ許せない。                                                            

「リンッ!!!」                                                   

「なに?なんで怒ってんの?」                                                  

「なんでじゃない・・・俺はほんとに・・・」                                              

「嘘の愛情などいらないよ。」                                         

「リン・・・!!」                                                      

「約束も忘れちゃったくせに・・・今更何なの?」                                              

レンの顔が悲しみで満ちた。                                                             

「リン・・・。」                                                              

「なに?」                                                     

「約束って何?俺・・・ほんとに覚えてないんだ・・・。」                                         

うん。覚えてないよね。私だって忘れたい。私だって忘れたい。                 

「そっか。まぁ、もういいけどね。」                                       

ただ終わりを待つのみよ。                                                

「リン・・・約束ってなに?教えてくれないかな?」                                     

「私が意地悪なの知ってるでしょ?」                                                            

「うん、でも・・・教えて?」                                                      

「ヒント、草原、永久の誓い、幼かった。」                                              

「うーん・・・分かんないよ!!」                                              

「でしょうね。もうあなたはそのことを気に掛けてすらいなかったのだから。」                        

「いや・・・その・・・ごめん・・・。」                                               

「別にいい。一人で居たいから今日はもう帰ってもらっていい?」                  

「リン・・・。ごめん。」                                             

「別に怒ってないわ。」                                              

そう言って私は微笑む。嘘、怒ってるよ。                                               

「本当・・・?」                                                

「本当。」                                                   

「ありがとっ!」                                                    

「どう致しまして。じゃあ、帰ってね。」                                            

「えっ、あっ、うっ、うん。」                                           

「じゃあね。ばいばい。」                                               

「うん。ばいばい!」                               

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

二人一緒に終わろうね

(ねぇーれんー?)                             
(んー?)                                   

(るかさんはどうしたの?)                           

(わかってるくせに)                               

ヒント 桃色の薔薇の花束                                   

レンくん実は約束覚えてたよ

閲覧数:445

投稿日:2011/07/03 14:57:22

文字数:4,614文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • アリサ

    アリサ

    ご意見・ご感想

    こんにちは
    読ませて頂きました!



    怖えええええええ
    この姉弟、怖ぇよ!

    ルカが
    ルカが……


    でもこういう感じの大好きです!

    個人的にはこれは『ハッピーエンド』としておきます!
    最期は二人で終われたのでw



    なのこさんの作品では、何ていうんでしょうか?
    ぶっ壊れたのが好きです!
    読みながらニヤニヤしてしまいますww

    それでは失礼しました~

    2011/07/28 13:06:02

    • なのこ

      なのこ

      こんにちは!読んでくれてありがとうございます!白い雪のプリンセスちょっとかじらせていただきましたよ!

      リンレン・・・もう!だめでしょ!!悪戯はめっ!((

      私にとってはバッドエンドでも彼らにとってはハッピーエンドなんですよねーうーん・・・複雑☆

      ああ、私は頭が壊れてますからね!←
      多分書くものも壊れると思います
      いやん!ニヤニヤなんて・・・はずかちー


      ありがとうございます

      2011/07/28 17:41:45

オススメ作品

クリップボードにコピーしました