願い、星にかけて~リンとリノ~


 「ねえ、リノ…」

 私は窓辺に立つ少女…願音リノに声をかける。

 「…なに?」

 数日前にここに来た、私そっくりの少女。

 「あなた、いったい何者なの?」



 願音リノ。私…鏡音リンの願いから生まれ、実態化した。元々が私の願いのため、感情がリンクしている。
 私が今知っていることは、これだけなのだ。
 だからリノについて、私はもっと知りたい。


 リノは、私が願えば叶えてくれた。
 動画の再生数を伸ばしたい、有名になりたい…
 リノに依存した生活、平和で退屈な日々。
 いつしか私は、スリルを求め始めていたのだった。

 それは自身を破壊させる。
 私が異変に気付いたのは、その少し後だった。


 いつものように、ニコニコ街を歩く。
 リノは私の半径77mから離れることなく、手足の羽で飛び回っている。

 不意に立ち止まる私、空中で静止したリノ。
 目の前に広がる光景を、信じたくなかった。

ー廃墟ー

 そこに、傷だらけで泣き崩れる人影があった。
 私と同じ、VOCALOIDの初音ミク。
 申し訳なさそうな顔で、リノは呟いた。

 「リンが願ったこと、全て叶えちゃうのは、良くなかっね…相談するべきだったよ、本当にごめんなさい。」

 私が願ったこと。それをリノが謝るのは、おかしい気がする。

 ミクは私たちに気付くと、こう言った。

 「荒らしが突然現れて、言葉の爆弾で全てを壊して行ったの…リンちゃん、ごめん、私じゃ何も出来なかった…」

 「ミクさん…あの、ごめんなさい。」

 不思議そうな顔をされた、当たり前か…
 私はリノに呼び掛けた。

 「この集落を、修復してほしい」

 本当の願いを掛けた、テレパシー。
 リノが頷いたかと思うと、修復が始まった。
 リノが願いを受けられるのも、発動できるのも77mが限度。
 集落の上空を飛び回り、全ての範囲を光で包み込む。
 オーロラか、流れ星か…

 唖然とするミクの隣、私はただ感動していた。


 街は元に戻る。
 しかし、荒らしの行方が解らない以上、安心はできない。

 「私も手伝うよ、あいつら、一回シバいておかないとね!」

 私たちを咎めることなく、手伝うと言ってくれたミクに感謝。

 様子を見に行ったリノから、テレパシーが届く。
 荒らしと思われる人を確認したらしい。
 ミクにそれを伝える。


 私とミクは、同時に走り出した。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

願い、星にかけて~リンとリノ~

 はい、願音リノが出てきますが、彼女は鏡音リンの亜種キャラクターです。
 七夕生まれの彼女には、まだいろいろと秘密が隠されていたり。

 この小説は、数あるリンとリノの物語のひとつであり、トークロイド等とは別の世界です。
 リンの数だけリノがいる!

 リノの詳細は、ツイッターでも見られます。
 正式にニコニコに投稿するのは、7/7になるので、よろしくお願いします←宣伝やめい

閲覧数:174

投稿日:2013/06/02 07:27:38

文字数:1,037文字

カテゴリ:小説

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