紫の魔法使いが加わった一行は西の国に無事帰り着きました。
四人が城にたどり着くと、城門のところに桃色の髪のメイド服を纏った女性が立っていました。
「姫君、また無断で外出しましたね。王は大変お怒りでしたよ」
桃色の髪の女性は厳しい顔でそう告げました。
「ごめんなさい…。
あ、途中で東の国の使者の方々にお会いしたの。姉様にお目通りできるかしら」
姫君は申し訳なさそうに微笑みました。
メイドは騎士達と魔法使いを一瞬訝しげに見た後、三人に話しかけました。
「ようこそお越し下さいました。
私はこの城のメイド長と国王補佐をしている者です。
失礼かと存じますが、この度は何用でお訪ね頂いたのでしょうか?」
「いきなりの訪問申し訳ございません。我々は東国の王からの使者です。
西国の国王様にお伺いしたい事があり、訪問させて頂きました。」
一礼をし、赤の騎士が返答しました。
「そうですか。王は現在多忙でして…謁見が可能か聞いて参ります。少々お待ち下さいませ」
会釈をして桃色のメイドは城の中に入って行きました。
「多分謁見不可だと言われると思いますので、覚悟していて下さい」
姫君は申し訳なさそうに微笑みました。
「それは困ったなぁ。じゃあ城に入る為にはどうすればいいんだい?」
青の騎士は呑気な表情(かお)でそう言いました。
「姉様は城内にいる者以外には会いたくないので、部外者は絶対に中に入れてくれません。なので、いざとなったら強行突破して下さい」
でもうちのメイド長、凄く強いんですが…。姫君は声を顰めて三人にそう話しました。
数分の後に桃色の髪のメイド長が戻って来ました。
「大変申し訳ございませんが、王は多忙の為暫く謁見は出来ないと申しております…」
「…ならば強行突破させて頂きますっ!」
赤の騎士が勢いをつけて桃色のメイド長に切りかかりました。
メイド長はスカートの中から獲物を取り出し、赤の騎士に応戦しています。
「姫君、二人を連れて女帝の元へ!」
斬り合いながら、赤の騎士は姫君に叫びました。
「わかりました!ご武運をお祈りします!」
姫君は駆け出しました。
「ならば私も力を貸そう」
呪文を唱えた後、魔法使いの手から紫色の煙が赤の騎士に向かって噴き出しました。
「これで君の体は暫しの間鋼に変わる。多少斬りけられても傷一つつかないよ。頑張ってくれたまえ」
そうして三人は女帝の元へ向かいました。
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