開くドアから 漏れ出す風が
熱を吐き出して 季節を終わらせる

なんでもないよと 言った日の夜は
なんにもないから 眠れなかった

その一挙手一投足のどれも
見逃したら 帰れない気がした

陽が暮れる三秒前 走り出した
西日に重なった影
君が僕を見ていないうちに 今日は盗んでやるのさ

legato!


スリーアウトの 一個前に立ち
君が来るのを ずっと待っていた

祭りの最中 人混みを抜ける
バイナリのようだ ストロボのようだ

目線が合う三秒前 走り出した
脈を抑えられないまま
君が僕を見ているうちに ちゃんと言っておかなくちゃ

君の隣 ベンチの前
ホームランは打てなかったけど
あとちょっとで 手が届きそうな

いつもよりは ほんの少し
大きくリードを取るから
まだ 気づかないでよ


陽が暮れる三秒前 走り出した
西日に重なった影
君が僕を見ていないうちに 今日は盗んでやるのさ

打ち上がる三秒前 走り出した
閉じ込めてきた何かが
君が僕を見ているうちに 冷え切らないうちに

float!



祭りの夜の 空を見ていた
バイナリのようだ ストロボのようだ