じ-っ


「・・・帯っちゃん」

「何?」

「何時までそうしてるの?」

「カイトがぼくだけを見てくれるまで」

「・・・・・・;」


家事を一通り終えたカイトはソファ-で読みかけの本(アイスクリーム特集)を読んでいると

後ろから帯人がカイトを抱きしめてじっと見つめていること

かれこれ30分・・・

流石に視線が気になって帯人に問うが答えは即答

未だに視線を向ける帯人にカイトは小さく溜息をつく


「帯人はマスターが好きなんだよね」

「うん。でもカイトは大好きなんだよ」

「・・・///」


またまた即答

しかしその答えにカイトは照れながらも胸が痛い位締め付けられていた


(そんなの・・・ほんの一時的に過ぎないよ)


亜種である帯人は基本、マスターが好きなヤンデレキャラ

マスターに構ってもらおうと愛用のアイスピックで腕や足等を傷つけて

マスターに手当てをして貰う事が多いが

我が家の帯人は何故かカイトが好きで家事をしている時と歌を歌う時以外は

カイトにベッタリとくっついてくる

しかしカイトはマスターが常に忙しく家にいなくて構ってもらえないから

自分はマスターの代わりなのだと言い聞かせた


(なのに・・・何でこんなに苦しいの?)

「カイト」

「・・・何?」

「泣かないでカイト」


帯人に言われて漸くカイトは自分が泣いていることに気づき

溢れる涙を止めようとするが涙は止まる事なく流れ続けている

そんな時、帯人はカイトの頬を両手で包んで流れる涙をペロッと舐めた


「なった、帯人っ!!?///」

「涙止まったね」

「えっ?」


先程帯人に舐められたせいかびっくりして涙が止まっていた

しかし顔は赤いままだ


「ただいま」

「あっマスターお帰りなさい」

「お帰りマスター」

「ただいま。んっ?カイト顔が赤いけど大丈夫?」

「だ、大丈夫ですよっ!!///」

「そう?あぁ2人とも後で俺の部屋に来いよ。新しい曲を作ったからさ」

「「はいマスター」」


仕事から久しぶりに帰ってきたマスターをどうにかごまかしてカイトはマスターの部屋に行こうとしたが

帯人が再びカイトを抱きしめた


「ちょっ・・・帯っちゃん!マスターの部屋に行かないと」

「もうちょっとだけ」

別に帯人に抱きしめられるのはカイトは嫌じゃないが胸の内が苦しくなった


「ねえカイト。カイトは・・・僕のこと信じてくれないの?」

「えっ・・・?」

「ぼくはカイトが好きだよ。だれよりも好きで愛してるんだよ。なのに・・・信じてくれないの?」

「マスターは?帯っちゃんはマスターが一番好きなんでしょ?」


帯人の言葉にウソはないと思うけど・・・

でもそれは本当?

マスターの代わりでしょう?

カイトはマスターの代わりだと思っていたから未だに帯人の言葉が信じられなくて

ちょっと意地悪な質問で返した


「マスターは嫌いじゃないよ?でもカイトが一番好き。マスターの代わりとかじゃなくてカイトだけが好きで愛してるの・・・まだ信じてくれないの?」


しょんぼりと俯く帯人にカイトは素直な気持ちで伝える帯人が愛しくて仕方なかった

もしかしたら本当は答えなんてとっくに出ていたのに“マスターの代わり”だからと

戒めの様に閉じ込めていたからきっかけが欲しかったのかもしれない

この気持ちを伝える勇気がなかったから

素直になれない気持ちが邪魔していたから

待っていたのかもしれない


(この気持ち伝えてもいいよね・・・)


カイトは帯人の腕をそっと抜け出し正面に向き合って抱きしめ返した


「カイト?」

「ごめんね帯人」


カイトから言われた謝罪の言葉

帯人はその続きを聞きたくなくて耳を塞ごうとしたが

カイトは帯人の頬を両手で優しく包んで額に軽く口付けた


「カイト」

「僕も帯人が好き。本当はね帯人はマスターが好きなのに常にいないから僕はマスターの代わりなんだって思ってたの。代わりでもいいから大好きな帯人と一緒にいれたら僕はそれだけで幸せだなって思ってたのに・・・そんなこと言われたらもう気持ち抑えきれないよ///」


顔を真っ赤にして再び涙を流すカイトに帯人はカイトの頭を撫で、唇に軽くキスを落とした


「帯人っ///」

「カイト好き 大好き 愛してる」

「僕も好き 大好き 愛してるよ///」


どちらともなく抱きしめ会って互いに額・瞼・頬・口とキスして見つめあって笑った



end

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

君を見つめる

初の帯カイなのですが…どうしてこうなった?
そして何故か帯人より兄さんが病み気味;

閲覧数:298

投稿日:2012/03/14 00:50:59

文字数:1,893文字

カテゴリ:小説

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