「知ってる?鏡音さんの事なんだけどさ~・・・」
私の席の後ろから話し声が聞えてくる。
もうなんと思われてもいい。どうでもいいんだ。
私はノートに視線を落とす。
Equation+** 自己解釈 第一話
授業が終わると、皆は数人でグループを形成する。
私はどの輪にも入らず、ノートに数字と文字の羅列を書き始める。
いやでも陰口が耳にはいってくる。
「何あれ・・・なんかコワーイ」
「あの文字なに?キモイんだけど」
私は文字を書くスピードを早める。
どうでもいいんだ。
私は自分にそう言い聞かせる。
しかし次第にその重圧に耐え切れなくなってくる。
私が席を立とうとした瞬間、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。
私はノートを机にしまった。
授業は数学で、テスト返しだった。
「鏡音さん」
「はい」
私は教卓の前に進み出て、先生から答案を受け取る。
「100点だ。これからもがんばれよ」
周りから「おお・・・」という声が上がるが、僅かに悪口も聞えた。
私は普通に席に戻った。
「すごいね~!」
ふいに声をかけられた。
声のほうを向くと、緑色の髪を肩あたりまで伸ばした女子がいた。
響音(ひびきね)さんだ。(グミの苗字。想像です)
私は困った。反応を返さないわけにもいかないし・・・
「え・・・そ、そうかな・・・」
響音さんはそれを聞くと満足したのか黒板に視線を戻した。
周りではこそこそ話が飛び交っている。
私は嫌な気分になり、うつむいた。
放課後、私は最後まで教室に残っていた。
誰もいない教室には、私がノートに数式を書く音だけが響いている。
「さよなら」
ふいに「あの時」の声が聞えたような気がして、私は耳を塞いだ。
私は1ヶ月前にこの学校へ転校してきた。
とあることがきっかけだった。
私は転校する前はクラスの中心的存在だった。
様々な人と仲がよかったから、幸せだった。
幼稚園の頃から親友だった子がいた。初音ミクという名前だった。
高校までずっと遊んでいた。私は高校でも人気者だった。
私はミクと遊ばなくなり、だんだん他の子とばかり遊ぶようになった。
親友だから、許してくれると思った。
しかし、しばらくしてミクに異変が起きた。
昼食だけは必ずミクといっしょにとっていたが、けっこう食べる方のミクがほとんど食べなくなってしまった。
なにかあったのかと聞いても、「なんでもないよ」とお茶を濁された。
ここで、気づいてあげるべきだった。
2日後、ミクは、私の目の前で自殺した。
「さよなら」
飛び降りる直前、ミクは泣きながら私にこういった。
あとで聞いたことだが、ミクは私と遊んだり仲良くしていた子たちにいじめられていたらしい。
多分、その子の中に私がいたから、何も言えなかったんだろう。
私は考えた。そしてこの結論に行き着いた。
あらかじめさよならの可能性がわかっていたら、それを出せる数式が存在していたら?
それがあれば、「さよなら」を避けられたんじゃないのか?
私は一切の友達と縁を切った。
また別れがくるのは嫌だ。だったら一人でいい。出会いなんかなくていい。
親に相談し、私はこの高校に転校した。
それで今に至る。
私は「さよなら」を導きだせる数式を探している。
それは、皆が夢にみているはずだ。
私はノートにペンを走らせる。
みるまにページが数字や記号、文字で埋まっていった。
外から様々な部活のだす音が聞える。
その他には、ペンが紙を引っ掻く音しか聞えない。
ふと時計をみると、もう最終下校時刻が迫っていた。
私はそっとペンを下ろした。
つづく
Equation+** 自己解釈 第一話
ぽわぽわPさんのEquation+**があまりにも良曲だったので、小説にしました。
URL↓
http://www.nicovideo.jp/watch/nm12062004
しばらく「巡り廻るナイフの物語」シリーズはお休みします。
(現在最後までノートに書いています。書き次第うpします。)
ぽわぽわPさん、ごめんなさい・・・
あくまで僕の解釈なので・・・
問題があれば削除します
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