「うーん……」

仰向けで目を覚ました途端に襲い掛かる頭痛に、私は顔を顰めずにはいられなかった。

そして、さっき自分の身に何が起きたのかを思い出し、ぽつりと呟く。

「……そっか……私、家ごと竜巻に飛ばされたんだ……」

だが、口に出したところで非現実じみたことが一気に現実味を帯びるなんてことはなく、むしろどんどん信じられなくなっていくようだった。
意識がなくなるまでの感覚ははっきりと覚えているのに、脳がそれを受け入れようとしない。
文字通り、「頭が追いつかない」状態だった。
しかも乗り物(?)酔いをしたのかとても気持ち悪かった。

──いや、問題なのはそこじゃない。

目の前に拡がる青い空、仰向けに寝転がる私の顔よりも高い草に、髪と草を靡かす爽やかな風。

「ここ……何処……うぷっ」

……が、私は気持ち悪さに耐え切れなくなり、盛大にゲロを吐いた。

 *

数分後、胃の中が空っぽになるまで吐き出したところで、私は周辺を歩いてみた。

そしたら──





「風の魔法使いだ!」
「風の魔法使いに万歳!」
「偉大なる風の魔法使い様!」

小人達に称えられました☆(雪りんごの時間の都合により大幅カットです★)

何故、そんなことになっているかを簡潔にまとめると、



・竜巻に飛ばされた家(と私)によって東の魔女が潰されて死んだ

・その魔女にさんざん意地悪をされてきた小人達が私を魔法使いと称えるようになる



私はただの非凡を夢見る平々凡々な少女のはずなのに、どうしてこうなった!?

「私は家に帰りたいだけなのに……!」
「おや、あなたのような方にも悩みがあるのですか?」

私は頭を抱えて独り言を呟くと、それを聞いた小人の一人が「ならば」と人差し指を出してこう告げた。

「あなたに、素敵な旅をプレゼントしましょう!」
「旅……?」
「そうです。鍵盤の道を辿って、エメラルドの街へ行けば、そこに住んでいらっしゃるMusic Wizardに会えることが出来ます」
「Music Wizard……」

──音楽の魔法使い。

ゲロを吐いたり、小人の国に着くまで大分歩いたり、そのうえ勝手に魔法使いにされてクタクタのはずの体が、早く旅をしたいとうずうずしている。
ようやく納まったと思った鼓動がどんどん速まっていく。
自分が今どんな表情をしているのか、鏡を見なくても容易に想像することが出来た。

「Music Wizardは、どんな願いも叶える偉大なる魔法使いなのでございます」

あなたも素晴らしいですけどね、とニコリと笑う小人。

しばらく開いた口が塞がらなかった私だったが、スグに小人の肩に手を置き、

「──私、エメラルドの街に行く!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Music Wizard of OZ 2【自己解釈】

閲覧数:134

投稿日:2014/06/18 00:07:44

文字数:1,135文字

カテゴリ:小説

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    じゃ、感想も大幅カットです★

    2014/07/05 20:41:08

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