![ジャケット](/r/images/card/600/rin.png?20241011)
どうやら世界は明日終わるらしい。
それは周知の事実のようで、私と彼女と私の家族は、
電車に無理やり押し込められている。
彼女に会えてよかった。
ぎゅうぎゅうに座って、彼女は私の祖母と何か話して笑っていた。
すごく愛しくて、二人きりになりたいなと思った。
無機質で何もない部屋にいた。
彼女は私の手の上に、手を置いていた。
此処は何処?と、尋ねると、わからないと微笑んだ。
明日世界は終わる。私たちはみんな消える。
それなのに私たちは冷静だった。
それを仕方ないことと受け入れていた。
ごった返すホームで、私は彼女を見送った。
私は彼女より、家族をとった。
彼女もまた行くところがあった。
空はどんよりと曇っていた。
みんなの心もきっと同じだった。
彼女と別れるとき、ずっと一緒にいたいなと思った。
明日世界は終わって、私たちはみんな消えるのに
これが今生の別れになるなんて、とても思えなかった。
目が覚めたとき、いい夢だったと思った。
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