その日の夜のことはぶっちゃけいろいろありすぎて覚えていない。

気づくといつの間にか自分の部屋にいた。

そしておもむろに机の上にあった1冊の本を手に取る。

そういえば日記書いてたんだっけか・・・。

ぱらぱらと日記を開いていく・・・6月23日。

そこに書かれていたのは



『6月23日
今日も登校前に先輩みれた~。明日もきっといい日になる!!
あと今日は近くのケーキ屋さんにいってみた。結構、美味しかったしまた行きたいな。』

特別に変わったことはかかれていなかった。
先輩というのはきっと睦月さんのことだろう。ケーキ屋さんには睦月さんといったのかな?

なんておもいながら次のページを捲る。

6月24日 

6月25日
  ・
  ・
  ・
  ・
6月30日

まぁこの間はずっと眠っていたんだし空白だ。

今日からまた書き始めようと次のページを捲った。

7月1日 とかかれたまま空白になっていた。

もちろん7月1日は私の誕生日で明日のことだし・・・空白でいいんだけど・・・

日記をもう一度捲る。何度も何度も何度も・・・

どこにも6月31日というページが存在しない。

この日記は最初から日付が書き込まれているパターン。
破かれている後もない。

6月30日のあとは7月1日であるのが正解だとでもいうように
そこには6/31が存在していなかった。


















見つけたのはナースコールらしきボタンとカレンダー機能付のデジタル時計。




     『2010/06/31 13:14』





最後に記憶していた自分の時計は『2010年6月24日』






『6/31 全国的に晴れ』というテロップが流れる。


確かに昨日は6月31日。
事故にあってからちょうど1週間後。


さっきまでの違和感などいつの間にか消え去っていた。








恐る恐るケータイを手に取る。そろそろ日付が変わる時間だ。

『6/31 23:59』と表示されていた。

30秒経過・・・

40秒経過・・・

50秒経・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そこに表示されたのは   『6/31 0:00』












思考停止。












今日の何度目かの停止から戻った私は過去の日記を探した。
同じタイプの日付が書かれている日記を・・・・。

どの日記にも『6月31日』は存在しない。


とりあえず他にも確認できるなにかを・・・部屋の中には存在しなかった

後のことなんて何も考えずとりあえず服を着て家を飛び出した。

夜の街・・・デジタルであふれかえった世の中で私に見せ付けてくるのはすべて

                 『6/31』

あてもなくさまよったあげくたどり着いた場所。

数時間前に訪れたあの公園だった。

静まり返っているはずの公園に響くブランコの音。

自然と足はブランコのほうへと向いていた。

確証はなかったけど・・・確信はあった。

そのブランコの音の正体が誰であるか・・・。





『6がつ31にち ころんでないた。いたかった。おとこのこがはなをくれた』



過去の日記の中でみつけた6月31日。

その日記は自分で日付を書き込むタイプのものだったから・・・
そして最初の日記帳だった。

あの日の記憶。

私はこの公園で遊んでいた。ブランコだった気がする。

バランスを崩してブランコから身体が宙に舞って地に落ちた。

もちろん怪我をした。かすり傷程度ではあったけども・・・

その時、近くで遊んでいた男の子が泣いている私に花を渡して・・・

『いたいのいたいのとんでいけー』とおでこにちゅうをしてくれた。

不思議と痛みは消えていた。


そんな昔の記憶。





ブランコを動かす正体は私に気づいたのか声をかけてくる。

『久しぶりだね。なぎちゃん』

久しぶりといっても数時間前に一緒に過ごしたはずの大前 睦月。

そう彼が目の前にいた。

『ここに来たってことは思い出しちゃったんだね。そして気づいてしまった。』

確信はあったけど・・・信じたくなかった。夢だと疑いたかった。

そっと頬に手を伸ば・・・したはずの手を止められる。

『つねってもいいけど痛みは昼間のときに確認したでしょ?』と彼。


『どこのジャングルを駆け巡ったらそんな傷だらけになるのかなー』

といわれて初めて気づくあちこちにかすり傷ができていることに・・・

『でも・・・もう泣かないんだね』といいながらそっと前髪を手であげる仕草をする。

きっと次にすることもそうされた後のこともわかっていたから思わず・・・

『聞かせてほしいの・・・』

彼の動きは止まった。

『んー教えてあげたいけど・・・それは7月1日の君の誕生日のプレゼントにしておくよ』


そう言った彼は私にまじないをかけた。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

『6/31』Part3

続編です。次でラスト。

閲覧数:152

投稿日:2010/04/22 03:57:00

文字数:2,075文字

カテゴリ:小説

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