生きていれば
必ずいいことがあるさと
思えない程の
重傷ではなく
だからといって
世界には
悪意なんてないと
思える程
軽傷ではない
致命傷かと言われれば
きっと違うんだろうし
だけど
完治は望めるかと言えば
きっと不可能なんだろう

心の傷なんて
少し
格好良すぎる言い方のような
気がするけれど

あちらこちらに
ばらけたジグソーを
元通りに
戻そうとしたら
いくつかピースが
欠けていた
そういう言い方のほうが
しっくりくるかもしれない

幼い頃
せっかく作った砂山が
崩れたときを思い出す
どんなに
慌てかき集めても
新たに作り直しても
それはもう
元の砂山ではない
ただの似ている『もの』だ
似通った外見で
他者に
外面の無事を伝えるための
模造品にすぎない

このまま
死ぬまで独りだと
思うほど
悲観的ではなく
死ぬまで
笑って暮らせると
思えるほど
楽観的ではない
奇跡を信じるような
幼さはなく
全てを乗り越えられる程
大人でもない

なんて中途半端な
出来損ない
どこかが欠けた
ジグソーパズル
新たに作り出すことも
出来ずに
欠陥品を前に
固まっている
『元通り』なんて
ありえないのに
作り直すしか
ないのに

昔、あんなにも
幸せだったものだから

思い出にしがみついて
前に進めない

『幸せな私』が壊れて
完治不可能
残された『私』はなんて
不細工
壊れかけた出来損ないは
作り直すしかないのに
まだしがみつく
砂塵のような
破片のような
希望に縋る
私は

なんて惨めな
欠陥製品