「それは、昨日、入荷したんですよ」
神居店長は言う。
「キャンディに、ミクちゃんの顔がついてるね~」
アル夫さんは手にとって、シゲシゲとながめる。

細長いネギのような、キャンディの先に、
ミクちゃんに似た“はっちゅーね”の顔が付いていて、かわいい。

ここは、神居ガクポ店長のお店、トーイパーク・新橋店。
お店の入口でいま、“アメリカン雑貨フェア”の、まっ最中だ。

雑誌の取材に来た、ジー出版の、野呂間アル夫さんは、
さまざまな面白いグッズに、目を丸くしている。


●アメリカで大人気!

「これが、逆輸入のアイテムですか、ガクポ店長」
アル夫さんは聞いた。
「ええ。ミクさんの商品、“キャンディ・はっちゅーね”...日本じゃほとんど売れないのに、アメリカで大人気になって...」
「ふぅん。キモいけど、かわいいね...」

「あら!アル夫さん、いらっしゃいませ」
はつらつとした声に、2人がふりむくと、
メグさんが、店に入ってきた。

「こんにちは。お邪魔してます」
「きょうは、取材ですか?おつかれ様です」
にこやかに言うメグさん。
彼女は、トーイパーク・羽田空港店の店長でもある。神居さんの後輩だ。

「どうですか?ガクポ先輩。“キャンディ・はっちゅーね”の評判は」
彼女は、神居店長に聞く
「うん。不思議だよ。輸入品となると、注目度もアップなんだ」

2人の会話を聞いて、アル夫さんも言った。
「面白いですよね。アメリカで、人気が出るとねぇ...。そういえば」
彼は、あごに手を当てた。

「ギャラリー・ゆうひの“タルト・キャット”っていう写真集。あれも、向こうで大人気だそうです」
「へえ~。じゃあ、それも、逆輸入しちゃおうか」
メグさんは、いたずらっぽく言う。


●スイーツとキャラの融合

「“タルト・キャット”に、“キャンディ人形”かぁ」
彼女は、頭に手を当てて考えた。
「“スイーツ”と、キャラクターの合体って、アメリカでウケるのかな?」

「うんうん、たらこキューピー、とかね」
アル夫さんは、うなずいた。
「それは、スイーツじゃありませんよ」
神居店長が笑う。

すると、急にメグさんが真顔になって、アル夫さんを見た。
「う、うーん。そうね...」

急に見つめられて、彼はどぎまぎした。
「な、なんですか?」
「ひらめいた!」
メグさんは叫んだ。

「アル夫さん。お願いがあるんですけど」
両手を合せて言う。
「いま、よく見かける“しゃべる看板”って、あるでしょう? ワタシたちの店で、その役目をしてくれない?」

彼は一瞬、「喜んで」と答えようとした。
でも、ふと思いついて、彼女の言葉を待った。

メグさんは続けた。
「甘い物と、キャラの融合。ぜひ、アル夫さんに、“マシュマロ・マン”の看板になってほしいんだ」

にこにこ笑っている、メグさんと神居さん。
アル夫さんは、真っ白くて大きなマシュマロ・マンを思い浮かべた。

「喜んで!と言えば、オレの株は上がるナ。
でも、すなおに喜べないのは、ナゼだろう?」(w_-;

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (119) メグさんの看板アイディア

そういえば初音ミクの誕生日ですね。アメリカ版も発表になって、そちらにも注目ですネ。

閲覧数:118

投稿日:2011/09/04 17:43:02

文字数:1,277文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    読みました! 輸入品なら注目度が上がる、かー なるほど言われてみれば確かにそういう気がします。こういう知識はtamaonionさんが仕事で雑貨屋さんやってるのを上手く活用できていて良いですね。この先の展開、楽しみにしています。では!

    2011/09/06 23:31:34

    • tamaonion

      tamaonion

      日枝学さん
      読んでくれてありがとうございます。

      雑貨って、遠い国への憧れがありますからね...
      話にもそんな気持ちが、表れればいいなあと思います。

      ストーリーを通じて、読んでくれた人と感覚が通じたりすることが、
      ものを書く楽しみでも、ありますよね!

      また感想を聞かせてください!



      2011/09/07 23:04:30

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