科学は日々、人々に楽を与えてくれるが日々、人々の不思議をなくしていく。


いつか、全てのことが科学によって解明される日が来るのかもしれない。
それはそれで、人々に役立つ部分もあるのでいいと想う。


でもこれだけは、解明されたくないというものが一つ。


それは、幽霊の存在という不思議。

僕は、君が生きている間に幽霊を信じたことは一度だってないんだ。

いなくて当たり前だったんだ。


けど、この家から君の存在が消えてから幽霊を信じてやまないよ。

だって、この家にはもう君はいないはずなのに、夜、君の足音が聞こえるんだよ?
あの音は間違いなく、君の足音なんだよ?
毎日聴いていたんだ。
間違いないよ。


だから今僕は、幽霊を信じてるんだ。

そして、そこに君という存在がいなくても、君を感じていられるんだよ。
存在がなくても感じるだけで、僕は救われている。


君は今、天国で僕を見守ってくれているのかな?

それとも、来世を決めているのかな?

もし来世を決めているのだったら、また人として生まれて僕のもとへ来ておくれよ。

そしたら、また君を…幸せを実感していられる。


けど最近、薄々感じているんだ。

幽霊は天国にいるんだって。

そして、天国は僕の心の中にあるんじゃないかって。

いないはずの君を感じられるのは、君がいる天国が僕の心の中にあるから。
足音が聞こえるのもそのせい。

だからね、君のいる僕の心。
その心をこれまで以上に大事にするよ。
自分を大事にするよ。

それはつまり、いない君を大事にすることなのだから。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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きみはもう心の存在に

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投稿日:2010/09/14 16:46:31

文字数:674文字

カテゴリ:その他

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