科学は日々、人々に楽を与えてくれるが日々、人々の不思議をなくしていく。
いつか、全てのことが科学によって解明される日が来るのかもしれない。
それはそれで、人々に役立つ部分もあるのでいいと想う。
でもこれだけは、解明されたくないというものが一つ。
それは、幽霊の存在という不思議。
僕は、君が生きている間に幽霊を信じたことは一度だってないんだ。
いなくて当たり前だったんだ。
けど、この家から君の存在が消えてから幽霊を信じてやまないよ。
だって、この家にはもう君はいないはずなのに、夜、君の足音が聞こえるんだよ?
あの音は間違いなく、君の足音なんだよ?
毎日聴いていたんだ。
間違いないよ。
だから今僕は、幽霊を信じてるんだ。
そして、そこに君という存在がいなくても、君を感じていられるんだよ。
存在がなくても感じるだけで、僕は救われている。
君は今、天国で僕を見守ってくれているのかな?
それとも、来世を決めているのかな?
もし来世を決めているのだったら、また人として生まれて僕のもとへ来ておくれよ。
そしたら、また君を…幸せを実感していられる。
けど最近、薄々感じているんだ。
幽霊は天国にいるんだって。
そして、天国は僕の心の中にあるんじゃないかって。
いないはずの君を感じられるのは、君がいる天国が僕の心の中にあるから。
足音が聞こえるのもそのせい。
だからね、君のいる僕の心。
その心をこれまで以上に大事にするよ。
自分を大事にするよ。
それはつまり、いない君を大事にすることなのだから。
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