馨しき香り漂う
ふらりふらりと惹かれてった
辿り着いた林檎の木
ふわりふわりと揺れていた
ひとつだけ実が生ってる
手を伸ばせば届きそうだな
佇んでる林檎の木
手を触れるのは躊躇われた
真っ赤な林檎
頬染めた様な林檎
まるで少女のよう
まるで少女のよう
見つけた、出逢った、此処に居た
随分と時間がかかった
ごめんね、遅れた、待たせたね
さあ笑って見せて頂戴よ
林檎に名前を付けた
可愛い君に似合いの名を
手繰り寄せた林檎の葉
さらりさらりと歌ってた
君の事を教えてよ
生まれてから今迄の事
何を見てきたかとかや
誰と過ごしたかとか全部
真っ赤な林檎
恥じらうかの様な林檎
食べてしまいたくなる
食べてしまいたくなる
遂に触れた
君に触れた
そっと歯を立てた
滴る雫
君が咽喉を通り過ぎてゆく
甘美な響きを携えて
そうしてひとつに混じり合う
もう誰にも邪魔されないよ
君が咽喉を通り過ぎるとき
微かな痛みを感じたよ
それは君が生きてた証拠
それは二人が生きた印
実の生らない林檎の木
落日に浮かぶ林檎の木
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