
春風に舞い上がる花片が
初空色を桜色に染める
紫雲ですらも隠して
桜雲へと変わっていく空の隨(まにま)に
また季節が巡って一年(ひととせ)が経ち
また一つ歳(よわい)を重ねた
大人に近付くほど不安が募り
暗む気持ち花曇り
花冷えの春時雨に
心が凍(し)みることもあるけど
いずれまた陽が射して
凍て解けの明日が来る
春麗の柔い光風が
私の頬を優しく撫でていく
茜空が闇に消え
月灯と花明かりに照らされる影
また一人で歩いたこの帰り道
つらいことも苦しいことも
ほら全部全部御空(みそら)へと投げ捨てたら
春靄(しゅんあい)に翳りは消ゆ
星が落ちる空の下
涙を流すこともあるけど
いずれまた夜(よ)が明けて
太陽が照らしだすよ
明鏡の水面に花筏
触れた桜が波紋を拡げゆく
涙拭いて前進もう
春色カーテンを超えたその先へと
0から1に変えるのは
難しいけれども
焦らないでいこうよ
またきっとさくら咲く
飛英の下(もと)で願う明日は
今日の日よりも明るいはずだから
吹き荒んだ料峭(りょうしょう)も
青嵐へと移り変わるはずだと信じて
儚い徒花(あだばな)でさえ
厳冬を耐えまた花を咲かせる
夢に向け手を伸ばせば
碧霄(へきしょう)に爛漫と桜が舞うから
いつか心の奥の蕾が
清(さや)かに綻ぶまで
桜絨毯の上を歩き
縹緲(ひょうびょう)の未来へと
葉桜になる頃には
忘れ霜を踏んで
季節がまた巡る
一年がまた巡る
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