夢から醒めた夜の噺
月光の街灯が映る夏夜の窓辺に
咲いた水槽の虚いは
廃校の終日を残す。
昨晩の花火は残花となって
今でもプールサイドから
幻日 或いは夢の中
虹彩の現と爆ぜる。
水槽の万華鏡
灯篭の光が現実の隙間から
そんな錯覚を確かに見た。
空の水槽に音が鳴る。
未だ残る廃校の 終わらない授業を
この水槽から眺めている。
鳥居の咳払い 宵の拍手
永い夢の続きを観ている。
未だ響かない 終わりを告げる定刻のチャイム
花火の音で掻き消された
取り残された校庭の中心
あの日の自分が此方を観ていた。
取り残されたあの日の噺
下校のチャイムが響く真夏の夕方
風が凪いだその一瞬に
全ての人が消え去った。
北東の神社の巨大な鳥居が
その日に観ていた光景を
現実 或いは夢のまま
神隠しで終を告げて
幻想の送電塔
朦朧と目眩が現実の隙間へと、
そんな水槽が確かに聞いた。
空 夕 瓏々
もう繋がらない鳥居の先
未だ残る廃校の 残された騒々を
この水槽から聞いている。
夜空の話し声 星の囁き
永い夢の繰り返しを過ごす。
未だ始まらない 終わりを告げる定刻の声は
花火と共に消え去った
閉ざされていった校庭の隅
誰かの姿が見えた気がした。
廃材に埋もれていく日々
可笑しくなったあの日から
記憶が幾度も誤魔化し合う。
錯覚と目眩の繰り返し
世界が眠る 廃校で眠る 水槽で眠る
未だ残る廃校の 終わらない授業を
この水槽から眺めている。
鳥居の咳払い 宵の拍手
永い夢の続きを観ている。
未だ響かない 終わりを告げる定刻のチャイム
花火の音で掻き消された
取り残された校庭の中心
止まった時間で自分を見つめていた。
未だ止まる永劫の 終わらない生命を
この水槽から嘆いている。
鉛の心臓 灰の衣服
儚い夢の終わりを弔う。
未だ終わらない 最後の授業を止めるチャイム
原風景に焦がれていた。
もう進まない夕日の校庭を
全てを隠した呪いが覆って
その中心で泣いてる自分が
水槽の中の自分に「さよなら」を告げた。
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