「・・・マスター」
「ごめんな・・・レン」
「いいですよ、マスター。しょうがないから。・・・・・リンに、言っときますね」俺はマスターの部屋を出てリンのトコに向かった。
「・・入るぞー」
ガチャ。
ドアを開けて部屋に入った。
リンは部屋の奥の方に座っていた。
「電気ぐらい点けろよ」
俺が部屋の電気を点けようとしたら、
「あ、点けなくていい。月の光がきれいだから」
リンがそう言った。
窓の外を見ると月と星がきらきらときれいだった。
「・・・きれいだね」
あ、思わず口にでた。
リンの方をみた。
リンはくすくすと笑いながら言った。
「レンが思ったこと口に出すのは珍しいね」
「わ、悪いかよ」
「あははは。べーつに」
「・・・む」
「それぐらいでへこむな!」ポコ。
「イテ」
相変わらずいつでも元気なやつだよ。
それが、羨ましいけど・・・。
「・・・ねぇ」
「ん?」
「マスターは何て言ったの?」
そうだ。言うの忘れてた。でも、口には出なかった。「・・・・」
リンは俺をみてくる。
「・・・・・そっか」
どうやら俺の表情をみて、今の状態がわかったらしい。
その時のリンはとても・・・悲しい顔だった。
「・・・・俺、嫌だよ」
「・・・え?」
「リンと離れたくない。ずっと一緒にいたい・・・・」
「レン・・・・」
ポロポロと目から涙が出てきた。
止まりそうになかった。
「嫌だよ・・・。消えたくない、消えたくないよ・・・・・」
「レン・・・」
―きゅっ。
「!・・・・リン?!」
リンは俺をだきしめて言った。
「・・・・大丈夫。怖くないよ。お姉ちゃんがいるから」コツン。
リンの額が俺の額についた。
リンがこの後何をしようかとわかった。
「そんなことしたら、リンも──」
リンは俺を見て、
「私達は、ふたりで一つの存在。ひとりいなくなったら『一つ』じゃなくなる。・・・私達はずっと一緒でしょ?」
笑顔でそう言った。
「・・・・。そう、だね」俺も笑顔でこたえた。
「じゃあ、やるよ?」
「うん」
そう言った後、俺とリンの体がうっすら光だす。
俺達はふたりで『一つ』。ひとりいなくなったら、『一つ』じゃなくなる。
どんなことがあっても、消える時も、俺達はずっと─・・・一緒だよ。
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