マンションの手すりから
闇夜の宙に吸われていく彼女を

誰にも止められなかった

その様子を映していたスマホを持つ手にも

彼女を止められなかった

〝王妃〟である彼女の寝室に〝夜盗〟の彼が〝悪貨〟をばら撒くのを

彼女に止められるはずがなかったし

やっぱり止めておこうとなどと彼は思うはずがなかった

悪貨をばら撒かれたのは彼を誑《たぶら》かして私から彼を奪った報いだと

彼女のクラスメイトの彼女が幽霊となった彼女に後ろ指を指しながら言った

何も知らない教員が彼女を退学に追いやろうと動くのは明らかだった

何も知らない両親が彼女を地元に縛りつけようと考えるのは明らかだった

マンションの手すりから
闇夜の宙に吸われていく彼女を

誰にも止められなかった
誰にも止められなかった
誰にも止められなかった
誰にも止められなかった

止められるはずがなかった
止められるはずがなかった
止められるはずがなかった
止められるはずがなかった

止めておこうなどと思うはずがなかった
止めておこうなどと思うはずがなかった
止めておこうなどと思うはずがなかった
止めておこうなどと思うはずがなかった

後ろ指を指しながら言った
後ろ指を指しながら言った
後ろ指を指しながら言った
後ろ指を指しながら言った

追いやろうと動くのは明らかだった
追いやろうと動くのは明らかだった
追いやろうと動くのは明らかだった
追いやろうと動くのは明らかだった

縛りつけようと考えるのは明らかだった
縛りつけようと考えるのは明らかだった
縛りつけようと考えるのは明らかだった
縛りつけようと考えるのは明らかだった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

誰も彼女の自×を止められなかった

マンションの手すりから
闇夜の宙に吸われていく彼女を

誰にも止められなかった

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投稿日:2023/04/22 17:05:37

文字数:697文字

カテゴリ:その他

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