どうぶつ占い~コアラの恋~



“明日は晴れ、流行りの曲は○○”
私は傍らに置いた携帯を手に取り、凄い早さで打っていく。
送信ボタンを押す手が、緊張で一瞬震えたけど、無事送信完了。

メールの相手は、今年初めて一緒のクラスになった、私の片想いの相手、レンくん。
最近やっとメアドをゲットしてから、ほぼ毎日天気やら流行やらの情報を送っている。不器用な私なりの努力の結果が、そんなメール。
でもレンくんは返してくれる。迷惑してないのかなって、返ってくる度思うけど・・・

今日も、返してくれるかな・・・まだかな、まだかな・・・


ジリリリ!ジリリリ!
朝、目覚ましのけたたましい音で目が覚めた。どうやら、夢だったらしい。
(そうだよね。私、今までレンくんにメールなんてしたことないし・・・する、勇気もないし・・・。男の子に、どんなメールを送ればいいのかな、なんて考えてるくらいだし・・・)
私は少し、期待を抱いて携帯を開いた。

液晶画面は、誰の連絡も知らせず、ただただ待ち受け画面の時計が動いているだけだった。


「ミク、おはよ」
「あ、ルカちゃん、おはよー」
前の席のルカちゃんは、一通り自分の事を終わらせると、私が熱心に読んでいる本を覗き込み、「またぁ?」と声を上げた。
「ま、“また”じゃないよ!今日のは、動物占いなの!」
・・・私は占いが大好き。恋占いが最近はブームかな。でも、悪い結果が出ると、絶対に信じないんだから、可笑しな話だよね。

「これで幾つ目?今までだって、算命学とか占星術とかタロット占いとかやってたけど、どれも芳しい結果、出なかったんでしょ?ミクとレンくんの相性なんて、どれでやってももう」
「っあああーーーーーー!!!」
「っ!な、何よ、急に大声出して・・・」
私は満面の笑みで、結果のページをルカちゃんに見せる。
「見て見て!どうぶつ占いなら、私とレンくん、相性抜群だって!」

嬉しくて嬉しくて、仕方無かった。
だって今まで、“最悪”“叶わぬ恋”そんな結果しか出なかったんだもん!

「え~、何々、、“あなたの恋の相手が悩み事をしていたら、あなたが相談に乗ってあげてください。そうすれば相手の悩み事は解消されて云々・・・”・・・ねぇ」
ルカちゃんが結果の解説ページを読む。
「でもレンくんて、悩みとかあるのかな」

気付いた。私、レンくんが好きって言ってるけど、レンくんの事、全然知らないんじゃないかな・・・。

「私はコアラで、策略家で、レンくんは黒ヒョウなんだって。私、レンくんの良いところ、結構知ってるつもりでいるの・・・伝えさせてくれないかな・・・」

「でもねルカちゃん。私知ってるの。レンくんが、あの子の事を好きだって」
そう言って指を差した先には、レンくんと、隣のクラスのリンちゃんが仲良く喋っている。
私は辛くなって、視線を逸らした。

家に帰って、動物占いの本を引っ張り出す。
本当は、動物占いなんてこれっぽっちだって興味がないの。あまり当てにならなそうで。
なんか願掛けしたくて・・・
あなたの視線を奪い続けてるあの子が、いつもロマンチックで、

悔しかったの・・・・・・


「えっ!そんなに切って良いの!?」
次の日、美容室で髪の毛を切る事にした。膝裏まである髪を、肩まで切ってという要望に、美容師さんは目を見開いて、聞き返してきた。
「はい、お願いします」
決めたんだ。

動物占い頼らなくたって、私があなたの好みに変わるから・・・って。


「わっ、ばっさり~」
次の日のルカちゃんの第一声は、それだった。
「リン意識したでしょ?」
「う、ん・・・」
恥ずかしくなって、下を向いた。と同時に、チャイムが鳴って、先生が入ってきた。
「はい、座った座った!今学期入って1ヶ月経ったし、席替えするわよ!」

私の席は窓際の1番後ろ。ルカちゃんと離れた。最悪。
はぁ、と溜息を吐くと、隣でカタン、と椅子を引く音がして、私は振り返った。

「髪、短いの似合うね、初音」

レンくんだった。
そう、一言だけ告げて、先生の話を聞く態勢になった。

私、その横顔に向かって、心の中で言うの。

「ねぇ、もう1度」

「こっち向いてよ」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

どうぶつ占い~コアラの恋~

スコップさんの“どうぶつ占い”が好きすぎて、勝手に解釈しちゃいました(汗
長々とすみません(汗
文とか変だったり、いろいろしてるかも・・・デス・・。
最後まで付き合ってくれたら光栄です!

ちなみに、夕凪の頭の中では
美容師→カイト
先生→メイコ
です。
・・・どちらも一瞬でしたが(汗

閲覧数:929

投稿日:2010/12/31 00:00:26

文字数:1,744文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました