第二幕 シュレッダー・パニック
 その日オイラは朝から直に外回りだったんだ。だから遅れて会社に着いたらなんだか騒がしい。こっそりメイコ姉さんに声かけて聞いてみたら、なんとルカちゃん大事な資料をシュレッダーにかけちゃった。なんか今日は朝からトラブル続きっだったらしく皆殺気立っていたらしい。ルカちゃん色々雑用押しつけられててんぱってしまい、廃棄資料と、コピーする資料間違えたらしい。
 その大事な資料は今日の午後から先方での会議に必要で、二課のあいつが取ってきた仕事は内容的に三課も協力している大がかりな取引だった。
 オイラも参加してた企画だから、みんなに攻められて萎れているルカちゃんや険しいかをしてる部課長に
「大丈夫、こんな時のためにしっかりデータはバックアップ取ってます!」
 オイラはみんなを見渡し、USBメモリを高く掲げた。

 それから課内は大騒ぎ、オイラがデータを打ち出して、皆で手分けして各部署のコピー機借りてコピーして廻り、必要部数セットした。何とか会議に間にあって良かったよ。

 これは会社の誰も知らないことだけど、オイラ最初のPC手に入れたとき、バックアップ取らずにPCフリーズそれまでのデータすべてふっ飛んだ 経験有ってそれからはこまめにバックアップ取るようにしてるんだよ。この会社に入ってからもPC使って作成した資料や会議の内容まですべてデータ残してある。オイラの机の引き出しはUSBメモリで一杯さ。

 会議も無事終わり、相手の会社の手応えもまあまあ良くて、あいつの株はまたもや上昇。所詮オイラはあいつの後ろでちまちま働くコマネズミ、でも今日だけはウチの課長に
「お前のおかげで助かった、大きな取引フイにしなくて済みそうだ。確かに二課のあいつが取ってきた仕事だけどお前の功績も大きいぞ」
 なんだか涙が出てくるよ、そんなに褒められたこと一度もないからさ。ルカちゃんも
「ありがとう今日は、こんな失敗もうしない」
 眼をうるうるさせてお礼にきてくれた。オイラは自分が色々失敗したことあるから
「失敗は誰でもあるよ、人間だもの繰り返さなきゃいいだけさ」
ってなぐさめたんだ。

 今日のお疲れとルカちゃんの慰め会もかねて、メイコ姉さんが飲みに誘ってくれたんで仕事が終わった後三人で飲みに出かけたよ。お疲れの乾杯の後はメイコ姉さんの愚痴から始まった。
「あいつ、自分が取ってきた仕事なのに、大事なとこは人任せなんだよね。今回も資料作成あんたと二課の新人坊やでやったんでしょ」
「まーね、自分でやらなきゃ身に付かないって押しつけてたよ。仕方ないんでオイラが教えながら二課の分は作らせてみた、新人君のみこみ早くて助かったけどさ。あいつ自分が出来ることは他のやつも出来て当たり前って思ってるからなぁ、二課の皆さん大変だろうね」
「やっぱりそうなんだ、二課の女の子もこぼしてた。何でこんな事が出来ないんだって言われるって、私ら事務職だってーの」
 だんだん姉さんのテンションが上がってくる。盛大な愚痴こぼし大会は姉さんとルカちゃんが酔いつぶれるまで続いた。明日も仕事があるからオイラはつぶれた二人を送って家路へとついた。

 その後何でかルカちゃんはオイラに声をかけてくることが多くなった気がする。オイラの勘違い?メイコ姉さんにこっそり聞いたら「あんたの良さがわかってきたんじゃない?」っていわれた。オイラは喜んで良いのだろうか?三課の先輩の目が怖いよぉー「条約破りは、一升瓶一気のみだぞ」って脅されるし。オイラの恋人はPCだよぉ、でも2月14日バレンタインに手作りケーキとネクタイ持って「付き合ってください!」っていわれたら条約破りしちゃうよ、一升瓶も飲んでやるさそれでなきゃ男じゃないよ!

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ミュージカル 第二幕

二幕の投下

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投稿日:2009/12/04 00:42:32

文字数:1,555文字

カテゴリ:小説

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