この初対面であるにも関らず私に告白してきた勇者なレン君。
とにかく人懐っこかった。
昼休みには彼の友達を振り切って1学年上の私のクラスまで来た。
「先輩ーーー!お昼一緒に食べましょうーーー!!」
ちなみに告白してきた次の日から。
子犬みたいな人だなと思う。じゃあ私は飼い主か。
クラス中の視線を背中にひしひしと感じながら、お弁当とフリル付きの日傘を持って教室を出るのが私の日課になってしまった。
何故日傘がいるかというと、私達がお弁当を食べる場所は屋上だから。
日焼けしたら困る。私が嫌がっても彼はここで食べようと言うから、結局私が日傘を持ってくることになった。
人とお弁当を食べることに私はあまり積極的になれない。お弁当でさえ、私は人とは違っているから。
「わっ、先輩。これお弁当ですか?」
「そーよ。ちなみに全部手作りね。」
私のお弁当は全てお菓子。クッキー、キャンディーにチョコレート。普通のお弁当だと私の服装に合わないからこうしている。
「す、すご・・・。でも体に悪くないんですか?」
「悪いに決まってるじゃない。」
「へ?」
「見たら分かると思うけど、砂糖の量はすごいし、カロリーも高い。だから私、朝と夜は野菜しか食べないわ。それと肥満防止の運動も欠かさない。こうやって可愛い服を着ている以上は、自分もそれに見合う努力をしないといけないのよ。」
「先輩ってすごいですね・・・。」
「何が。」
「俺、先輩のことずっと見てましたけど、そんなに頑張っているなんて気がつきませんでした。
 やっぱ俺、先輩大好きです!!」
・・・不意打ちは反則でしょう。そっちが赤くなると、こっちまで赤くなる。
あーもう。なんだかなー・・・。
「・・・ありがと。クッキー食べる?」
「はいっ!いただきます!!」
いつも自分のためにしか作らなかったお弁当だけど。
明日はレン君の分も作ってこようかな。本人嬉しそうだったし。
今日みたいに日の照った屋上には、私達以外には誰もいなかった。
私は黙って、ただ意味も無く靴の飾りボタンを眺めていた。
「あっ、あの先輩っ!」
「ん?」
「今度、2人でどこか遊びに行きませんか?明日でも1週間後でも1ヵ月後でも・・・とにかく先輩のお時間のあるときに!俺、いつでも暇なんで!!」
えーっと、これは。
デートってやつ?
・・・うっわー。まさか私がこんなことにーOTZ。
「えっ、えっちょあのレン君?」
「だめですか・・・?」
そんな子犬みたいな目で見られたら良心が痛むじゃないか・・・
私のロリ友に彼氏いる人は・・・いねぇ!誰に相談するのコレ!!(注:ロリ友=ロリータ友達。ゴスロリ趣味を好む友達。希少人種。)
「いや、だ、だめじゃないけど・・・。」
「ホントですか!!」
「うん・・・。でもレン君。私と並んで歩くとかなり目立つよ?私服は制服よりももっとすごいし、出かけるからって服装を変える気は私全く無いよ?」
どうしてもこのスタイルだけは譲れない。それが今の本音。
レン君みたいな普通の人は、私のこと変だって思うんだろうな。
「いいですよ、先輩の好きな服で。俺、先輩とデートできるだけで嬉しいんで♪」
意外な返事だった。
そしてやっぱりデートのつもりだった。この人。
世界には物好きな人間がいるなと思う。
その時、校舎の中からチャイムが聞こえた。
5時間目、遅刻。
「チャイム鳴っちゃいましたね。遅刻だ。」
「レン君のせいね。」
「え、俺ですかっ(笑)もうどうせだからこのままサボりましょうよ。」
生まれて初めて授業をサボった。
たまにはこういうのも悪くない。



正にレン君は主人についてくる子犬そのものだった。
「帰り道に女の子1人は危ないから、これから毎日送っていきます!!」
イメージ的にはチワワが番犬気取ってるみたいなんだけど。
そのチワ・・・レン君は、人目を全く気にしていなかった。
その点では、レン君って勇者だよなって思う。
そんな勇者なレン君は、私のどこが良かったんだろうか。
「ねぇレン君。一体私のどこが良いと思って告白してきたの?いっつも可愛い可愛い言ってくれるけど、私より可愛い子なんてたくさんいるじゃない。オマケに私格好すごいし。」
あたりが暗いせいでレン君の顔はよく見えなかった。「んー。」と伸びをして、彼は口を開いた。
「可愛いってのもあるんですけど、きちんと自分を持っているところがカッコいいって思ったってゆーか。俺、先輩以外の女の子がどんな格好しようが興味無いですよ。」
・・・ハッキリ言うなぁ、この子は。
「でも友達に言いにくいでしょ。『自分の彼女はゴスロリ趣味』なんて。」
「そんなの構いませんよ。俺も先輩と同じで、自分が良いと思ってればそれで良い、って考え方なんです。」





とりあえず今日話してて分かったのは、この子にはどんな意地悪言っても通じないこと。
そしてもう1つ。彼はビックリするくらい、私にベタ惚れなこと。
先は長そうだ・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【ヒロイン自由】●●●●な私と、恋した君。2

書くのに思いのほかハマってしまい、早くも2章目ww
リアルの人に時々見られちゃったりしているので、表現をこっちの連載では抑えないといけないのが辛いっすOTZ
コレ書いてる間、常々感じます。
「あぁ、私って妄想魔なんだね・・・」
いやだってレンきゅんとこんな恋愛したくないですか?!少なくとも私はしたい!だれかリアルにレン君を(ry
うp主は自他共に認めるレン廃です。
感想&批評、お待ちしております!!

閲覧数:179

投稿日:2011/01/29 14:41:24

文字数:2,055文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • くらびー

    くらびー

    ご意見・ご感想

    うわぁ、続き来てたんですか!!
    気づかなかった自分が憎い(゜皿゜

    いやあレン君かわゆすなあ←
    もう食べちゃいたいですよ!!((死

    2011/05/11 12:47:23

  • 幸@お仕事募集

    幸@お仕事募集

    ご意見・ご感想

    続編キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
    うはレンきゅんかわいいww
    そしてそれ以上に文章が神!!登場人物の個性(?)がすっごく生かされてるというかなんと言うか神すぐる。

    わたしのめーちゃん愛((殴 はどこまでいく・・・。

    2011/02/05 13:51:02

オススメ作品

クリップボードにコピーしました