どうして。

どうしてこんなことに。






「ルカ、俺達もう終わりにしよう」



君が別れを切り出してきて。



「私、何か悪いことした?」



私はわけがわからなくて。



「無理だったんだよ」



なぜか君がとても怖くて。



「俺達は最初から、間違っていたんだ」



私が重かったのかな。



「君の鎖は俺には強すぎる」



私が縛りつけていたのかな。



「…………」



とにかく怖くて。



「だからもう、会わないほうが―――…












その言葉を聞き終える前に。

私は逃げた。

我を忘れて、あてもなく闇雲には知った。




どこか君の知らない遠くへ。

それならどこだって構わない。







私の足は結局、本心からは逃げられなかった。

気づけば私は君の部屋にいた。

君から逃げることなんてできなかった。






「…なんでここに」



君はちょっと驚いて、その顔が面白くて。



「忘れたの?合鍵持ってるんだよ」



君の顔が歪むのさえ愛おしい。



「どこまでもついていくよ」



君はまるで、この世の深層を覗いちゃったみたいな顔してる。



「どうして…なんでルカは!昔はもっと穏やかで可愛くて!なんでこんなふうに―――」



壊れたレコードのように。

君はわけのわからないことを言う。

堰を切ったように。




どうして君は急におかしくなったの?

昨日まで普通だったじゃん?

まさか…壊れちゃった?








どうして。

どうしてこんなことに。

なんでだっけ?

私?

壊れちゃったんじゃなくて?

私が、壊した?















私と君はどこで会ったんだっけ。

ああ、そうだ。大学の講義で偶然席が隣になったんだ。

それでよく話すようになって。

好きになったんだよね。

いろんなことがあった気がするけど、それも思い出せないなあ。

一緒に食事したり街を歩いたり買い物したり勉強したり絵を描いたりしたよね。


それともそんなことなんてしなかった?

ううん、どうだっていいんだよ。そんなこと。

重要なのは、私と君が惹かれあったこと。

思い出なんていくら消えても作れるでしょ?




そう。

私が君を壊したなら君も私を壊した。

これで2人とも、本当の意味でわかりあえたよね?



だから。

君の手で私に手を下そうとしないで。

その手はなにを掴んでいるの?

あれ、雫が君の手に零れてるよ?

泣いてるの?

バカだなあ、私まで泣いちゃうじゃない。



ほら、私が涙を止めてあげるから。




…なにするの?

苦しいよ。

このままじゃ私眠っちゃうよ?



ほら、涙止めてってば。

悲しくなるようなことさせないでよ。

あ、いいものがあるよ。

さっき果物でも切ったのかな?

なんでここにあるのかはわからないけど、これで涙、止めてあげる。






…雫、止まってないよ?

おかしいな、止まらないよ。

君への罪悪感。



まあいいか。

そろそろ息苦しさも限界だし。




うれしいな。

君と一緒にさよならできるんだね。











呪詛のような言葉を紡ぐ彼は彼女の細い首に手をかけ。

全ての感情が抜けた表情の彼女は刃物を手に。




なぜこんなことになったのか。

その真実を2人は知ることはない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がくルカ】《Heresy》【連想ゲーム】

テスト勉強の気分転換に30分クオリティ。
どうしてこんなことになったんでしょう?
とりあえず二人ともヤンデレでもいいと思います。

(そもそもこれはヤンデレといえるのか?)


【Heresy】
英:異端

閲覧数:265

投稿日:2014/10/10 22:17:54

文字数:1,447文字

カテゴリ:小説

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