悪魔の居る教会第6節
「悪魔と双子の孤児」



「……これは…」

森の中に位置するこの教会には、誰かの死体が見つかる事がありました。
この教会の墓は、その放浪して死んだ者が多く、私もメイズィさんも、毎日のように死体をみかけていました。

「…何故、こんなにも人が死んでいくのですか…」

少し腐ったその死体の腕は、少し触っただけで崩れる。
死んでからかなり経ってるようでした。

「…神様、このお方を、どうか……。あれ?」


その死体の傍らに、まだ生きている人が居ることに気付きました。

「…この人達だけでも…」

その人達は、二人の少女で、双子のようでした。

「…もしかして、この人の子供…?まだ小さい…」

その少女達は、まだ10歳前後と言ったところでしょうか?
でも、何故死体は腐敗しているのにこの二人は生きて…。
私は、ふと、その傍らにあるメモ用紙を覗き込みました。

「『私は、もう無理です。きっと、この教会に居る優しい方が、この子達を引き取ってくれます。私はもう限界で、体がどんどん腐敗していっています。この子達を一緒に居ることはもう出来ません。エッダとイッドを頼みます』…?」

体がどんどん腐敗していく…。
そんな病気が…。よく見ると、その腐敗している人は、うわ言のように何かを呟いている事に気付きました。

「こんな状態でも…喋れるなんて…」

私のその声は聞こえていないらしく、視点の定まらない目で、その人はどこかを見つめています。

「ここまで、きた。もう、その人、助からない…」

「ひぇっ!?って、ま、マリリア様!?」

私の後ろにはいつのまにかマリリア様が居て、そう言っていました。

「これって、なんていう病気なんですか…?」

「…それ、腐敗病。最近、町、流行っている、病気。かかった人…絶対、助からない。精気、神だったら…助けられる。でも、今、後継者、いない」

「そう、なんですか…」

その精気の神というのが居ないからこそ、この病気が流行ってしまっているという事でした。
最近死体をよく見るのは、このせいだったんですね。

「…私、この女の子達を預かろうと思います。この子達には…まだ、親がどうなったかなんていえませんが…。いつか、この子達が大きくなったら、教えてあげたいです」

「私、それ、良いと思う。まだ、教える…早すぎる」

マリリア様の頬からは、涙が流れた気がしました。

********************************

マリリア様と二人で、そのエッダとイッドという少女達を運んできました。

「あ、ユキノはんやないか。…ってその二人…」

リネイルさんとリメイルさんは帰ってきていたようで、教会の隣には綺麗なアトリエが建っていました。

「この子達、親が死んでいて、傍らで気絶してたんです」

「…手伝って。この子達、衰弱、してる。少し、栄養、取らせる。しないと、死ぬ」

「分かりました。マリリア様。リメイルさん、お願いできますか?」

「わかった」

***************************************

「あ、起きましたか?」

二人が孤児院のベッドで起きました。

「…此処は?」

片方の茶色の髪の毛をまっすぐに伸ばした少女は、私に場所を尋ねました。

「此処は、うたの教会の孤児院です。貴方達は、森で倒れていたんです」

「お母さんは?」

もう片方の茶色の髪の毛を後ろで括った少女は、母の事を尋ねてきました。
あの真実を、この子達が受け止めきれるかどうかが…。

「…森には、貴方達しか、倒れていませんでした」

「…そんな…」

「お母さん、最近具合悪そうだったから、心配してたけど…」

二人は私の言葉を聞いて落胆していました。
腐敗病のことは、やはり知らされていないようでした。

「…貴方達は、家に帰りますか?」

「…エッダはどうする?」

髪の毛を括った少女―会話からしてこちらがイッドのようです―は、髪の毛をまっすぐ伸ばした少女―エッダ―に尋ねました。

「……お母さんも居ないし、家も…ないんだよね」

「どういう事ですか?」

家がない、というのは、ありえないことでした。

「…家をね、出てきたの。家にもうすめなくなっちゃって」

私の言葉に返答を返したのはエッダでした。

「…私は、ユキノ、と申します。貴方達は、此処を新しい家にしてみませんか?」

「…良いんですか?」

「はい。そういえば、絵を描く事は好きですか?」

私は、ふとエッダとイッドに尋ねました。

「はい、お母さんも画家で、昔からよく絵を描いてました」

「らしいですよ?リメイルさん、リネイルさん」

「げっ、いつから気付いてたん?」

「ずっとです。という事で、あそこ二人も、画家なんです。この孤児院の直ぐ横にアトリエがあるんですよ。そこで、あの二人の手伝いをしてみません?」

「「…はい!」」

二人の笑顔が見れました。
二人は、母の話題で、少し暗い表情をしていましたが、少し不安が解けました。

続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

悪魔の居る教会第6節「悪魔と双子の孤児」

腐敗病…こんなのあったら怖いですね。

エッダとイッドが仲間になりました!
まだ全く設定出してませんw

もうそろそろクロッセ出さないと名…。

閲覧数:76

投稿日:2012/09/06 20:40:49

文字数:2,112文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました