街頭テレビの中では
朝から国会の野次が映る
「小学生のケンカみたい」と
通りすがりの老爺が言った
流行りの服を掴まされた
見た目はこぎれいだったんだけどな
値段だってそれなりにしたのに
一週間で穴が開いたよ
「マスコミを懲らしめる」って誰かが言ってた
どっこいもうみんなあんたらの言いなりだ
ニュースも週刊誌も
都合のいいことしか言わない
民主主義の根幹が
言論の自由だなんてそれは嘘
錆びた橋の欄干に腰かけて
冷めた視線で歌を歌う
さよならアドルフ・ヒトラー。
さよならニッコロ・マキャヴェリ。
さよならポル・ポトに毛沢東。
一方に傾いた翼は 同じ場所をぐるぐる回るだけ
テレビは次の話になってた
北の将軍国との会談だ
使者はのらくらとかわすだけ
タイマンなら殴れば済むのに
「格差はどんどん開きます」
「富めるものは富み 貧しいものは貧しく」
警告をはらんだ経済論も
一時のブームで終わった
作者はそれっきり沈黙したそうだ
結局は金と力が全てなんだな
ヘイトスピーチの向こうに
虹色の旗が見えるよ。
みんなにいいことだけ
独断してくれる人はいないのかな
「独裁も絶対悪じゃない」と
歴史の先生は言ってた でも
さよならヨシフ・スターリン。
さよならフランクリン・ルーズベルト。
さよならイディ・アミン。
前に進めない鳥はやがて力尽きて落ちていく
王族も人気商売
仕方のない世の中ではある
政治家を懲らしめたいが
それを選んだのは誰だ?
つまりは人間がやることだ
望まなきゃ与えられない
悪いのは そう、
さよなら奴隷商人に主人。
さよなら東京裁判の判事。
さよならデマゴーグと民衆。
さよなら幻想の貨幣価値。
さよなら恣意的メディア。
さよならベンソンの幸福論。
さよなら人類の利己欲。
さよなら僕の差別主義。
さよなら君の中の独裁者。
結局は全部己の汚さの鏡映しだ
一般市民も独裁者も 死ねばただの人
抜けた穴はいつの間にか埋められる そして忘れられる 何もなかったように
きれいになれ
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