ある国の塔の中
少女は歌っていた
紡ぐのは平和
“象徴”の声が響く
窓の中見える世界は狭い
一人言い聞かせる
此処が居場所なのだと
響く鐘の音遠くに聴いて
少女は今日も祈り続ける
「世界が穏やかであるように」
軋む心隠して
ある国の塔の中
少女は歌っていた
紡いだのは愛
忘れてたもの 思い出す
窓の外呼ばれる名前 ずっと
心躍らせていた
其処に居る人を想って
揺れる声は歪みに近づいて
でも少女はまだ気付かない
「世界が穏やかであるように」
惑わされたと知らずに
ある国の塔の外
少女は逃げ出した
紡いだ言葉は
捨てられて錆びついた
窓の外見える世界は広く
手を取り二人で歩く
此処が居場所なのだと
咽る喉 嗄れた声と力
蹲る背に聴こえた報せ
「世界が穏やかであるように」
打ち砕かれた歌声
戻れない あの頃には
果たさなかった罪は重く
悔いる少女の体も蝕み
全てを奪う
響く鬨の声遠くに聴いて
少女はまた祈り歌いだす
「世界が穏やかであるように」
僅かな力で 今
以下平仮名ヴァージョン
(A)
あるくにのとうのなか
しょうじょはうたっていた
つむぐのはへいわ
しょうちょうのこえがひびく
(B)
まどのなかみえるせかいはせまい
ひとり いいきかせる
ここがいばしょなのだと
(S)
ひびくかねのおととおくにきいて
しょうじょはきょうもいのりつづける
せかいがおだやかであるように
きしむこころかくして
(A/3行目1字足りません・4行目1字余り)
あるくにのとうのなか
しょうじょはうたっていた
つむいだのはあい
わすれてたもの おもいだす
(B/2行目1字余り・3行目2字余り)
まどのそとよばれるなまえ ずっと
こころおどらせていた
そこにいるひとをおもって
(S)
ゆれるこえはゆがみにちかづいて
でもしょうじょはまだきづかない
せかいがおだやかであるように
まどわされたとしらずに
(A)
あるくにのとうのそと
しょうじょはにげだした
つむいだことばは
すてられてさびついた
(B)
まどのそとみえるせかいはひろく
てをとりふたりであるく
ここがいばしょなのだと
(S)
むせるのど かれたこえとちから
うずくまるせにきこえたしらせ
せかいがおだやかであるように
うちくだかれたうたごえ
(C)
もどれない あのころには
はたさなかったつみはおもく
くいるしょうじょのからだもむしばみ
すべてをうばう
(S)
ひびくときのこえとおくにきいて
しょうじょはまたいのりうたいだす
せかいがおだやかであるように
わずかなちからで いま
(物語風)Pax Vobiscum【曲募集中!】
物語風です。多分きっと。
字数確認は途中で力尽きました…。
補足等は後日させていただきます。
【補足・追記】
舞台は西洋ファンタジーな感じです。多分きっと。
少女は度重なる戦争を止める為の「象徴」として、ずっと塔の中で生きています。
勿論、外の世界なんて話に聞くだけです。
少女は外に出てみたいと思っているのですが、自分に課せられたことも知っている為(ましてや生活も保障されている為)、ずっと耐えていました。
しかし、ある日彼女は一人の男と出合います。
男は自分は「旅芸人」である、といい、様々なことを少女に教えたのでした。
彼女はやがて男に恋をし、「彼が見ている外の世界を見たい」と強く思うことになるのでした。
しかし、歌はその思いが強くなればなるほど澄んだものではなくなってゆきます。
彼女はとうとう男と外に出ることを決意しました。
しかし、それは男の住む国がしかけた罠だったのでした。
男と少女は愛し合っていましたが、男にはどうしても国に従わなければならない理由があった上に、彼もまた彼女と暮らしたいと思っていたのです。
しかし、「象徴」とは言え平和を意味する彼女がいなくなったため、世界では再び戦争が起こり始めます。
少女は自分がしてしまったことに気付き、慣れない暮らしで体調を崩していたにもかかわらず、再び祈り歌いだします。そんなお話です。
タイトルの「Pax Vobiscum」は「汝と共に平和のあらんことを」という意味のラテン語です。確か←
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