浮力に囚われた四肢はもがくこともせず
髪だけが水草の様に揺られたゆたう
溜息の代わりに口から漏れた唄は
泡となり僕を置き去りに上ってゆく
大河の流れに身を任せたとして
その果てに海はあったのだろうか
澄水に呑まれて初めて
この身の温さを思い出した
ユラ揺らめくことすら無く
静かに 素直に 落ちてゆく
天渡り行く魚影の向こう
突き抜けた蒼と青の境
水面に注ぐ光を見上げてた
息辛いと気付きたくなくて
呼吸なんて忘れたままで
水底に落ちていった鉛のように
深く進む度水塊は重く冷ややかに
胸も喉も脳も円かに締め上げる
ついさっき見失った流藻が
何処かの岸に辿り着きませんように
ユラ揺らめく影の先に
アメマスの 星が 瞬いた
天渡り行く魚影の向こう
突き抜けた青と蒼の境
水面を乱す波紋を見上げていた
重石となるその憧憬が
解け出して消えることも無く
水底に落ちていった鉛のように
硝子玉を 覗いた
その先も 等しく
世界であれば……
生命の後も見当たらない程
深いところまできてしまったなぁ
もう肺に空気も残ってないや
抱え込んだこの感情は
二度と浮かび出ることも無いだろう
水底に落ちていった鉛のように
最期に 吐き出した 息は
”水底落鉛”
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