大航海時代
遥かな海 その向こうへ帆を張って
吹き抜ける風を受けていく
憧れて自分を重ねた
あの船でいつか旅立つと信じてた
やがて薄れたいつかの夢
幾たびも見送った船の影
一度きりの新しい切符も
使わずにポケットに押し込んだまま
腕時計に刻まれた月が
また三日月になるまでにはって
この海を越えて行くからって
同じ言葉を繰り返してた
月が満ちて欠けるように
時計の針は回ってゆく
くり返し 同じようにループを描いて
たやすいのは
いつまでも変わらずにいるということ
ほどけずに置かれた荷物と言い訳を
床に積み上げたまま
片付けられずくり返す日々
怖れたのは
何を失うことだったか
町を出てゆくこともできず
あの海を越えると踏み出せもしないのに
いつかは眩しかったはずの灯台を
ここから眺め続けた
誇らしげに夢見たような
あの頃とは違ってるけど
焦がれて仰ぎ見るような日を
見つけ出したい
霧の中でも
月が満ちて欠けるように
時計の針が回るように
くり返し 同じように生きてはゆけない
苦しくても
たゆまない風を帆に受けなければ
海も 月も 時も とうに満ちた
自分の手で組み上げた船
誰のせいにもできない旅路の羅針盤のように
月が照らした
月が満ちて欠けるたびに
時計の針が回るたびに
新たな海を越えないと
生きてはゆけない
くり返しのない時間を
怖れずに進んでゆけたら
左腕の月よ
今度こそ踏み出すから
紺碧の波間を照らしてゆけ
今度こそ渡ってゆくから
閉じられた環の外へ
新しい時を刻み
船出は遅くとも
嵐の中 揺るぎない帆で
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