明日華よ。そなた、「雨月物語」を知っておるかな?
ふむ。その通り。
上田秋成によって記された書よ。
かの書はいくつもの逸話があるが、問題なのは、その四の物語。
豊雄と、それにつきまとう女と少女の物語。
女と少女の正体は蛇であったが、その蛇はどうなった?
なに?知らぬ?
そうか。
かの蛇は捕らえられ、鉄の鉢に入れられて、地中深く埋められたと雨月物語には記されておる。
その後に、今も残る蛇塚が建てられたそうだが、この蛇は、死したのであろうか?
正しく蛇性であり女や少女に変じるもののけが鉢に入れられて地中に埋められるくらいで?
いやいやいや。
今より語る物語。
地中の鉢を曝いた愚か者と、この蛇に関わる者たちの物語。
この物語、とくと拝聴せい。
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