何となく、そう、何となく、行きたかったから。
ふと外を見れば土砂降りの雨が降っていて、その音が轟々唸っている様にも、まるで誰かを呼んでいる様にも聞えたから―――
私は外に飛び出した。
何となく、そう、何となく、アイツが行きそうだったから。
ふと外を見れば土砂降りの雨が降っていて、その音が轟々唸っている様にしか聞えなかったのだが、アイツにとってはそうではないだろうと思ったから―――
俺は外に飛び出した。
「・・・何してんの」
土砂降りの雨の中、傘も差さずに立っている少女に同じく傘を差していない少年がそう言った。
「見て分かるでしょ、レン。雨に濡れてるの」
「アホか、お前は。そんなら瀧にでも打たれてこい、リン」
少女―リンがさも当然、とでも言いたげに(実際そうなのだが)そう言うと少年―レンは常識人として最もな突っ込みをした。いや、瀧に打たれて来いは普通ではないか。
「つーか、ほんっとリンって分かんないよな・・・。何で雨に濡れても平気な訳?」
「それは私の方が聞きたいよ。何でレンは雨に濡れたくないとか言うの? でもその癖私がこうして雨に打たれてると直ぐに気が付いてくれる」
「・・・それ、は・・・」
レンは思わず口篭る。しかしリンはそんな事は気にも止めてない様でフンフンと楽しそうに鼻歌を奏でている。本当に、楽しそうに。
雨は、嫌いだ。何もかも、攫っていってしまいそうだから――
そんな事を言ったら、リンはなんて言うだろう。子供みたい、と笑われるのが落ちだ。多分、いや、きっとそうなるに違いない。
「私は雨、好きだよ。全部、流してくれそうだから。悪い事はぜーんぶっ」
にぱっと笑いながらリンはレンにそう言った。まるでレンが雨の事を嫌いだと思ったのが分かったから、そう言ったかのように。
「あ、でも、それで大切な、大事なモノが流れて行っちゃうのはやだなー。でも雨の気配で湿った土の匂いとかも好きだしー、こうして雨に濡れるのも好きだし。ねぇ、れ・・・」
嬉しそうに雨の好きな所を上げていくリンはレンに話題を振った時、その言葉の続きは言えなかった。
何故なら、レンがリンを無意識の内に抱き締めていたから。大事なモノを何かから護る様に。それでいて、大事そうに、そっと。
「れ・・・ん・・・?」
「・・・・・・。え、あれ? ・・・・・・! あ、ごめっ・・・!」
リンの不思議そうな声にレンは自分が何をしたのかを悟り、リンを離した。が、リンはレンにしがみ付いたまま(もとい、抱き付いたまま)、離れない。
「あのー・・・リンさーん・・・?」
返事は無い。ただのしk(ry
「うわ、レン、服びしょびしょだよ。ほら、髪も」
暫く返事が無いと思っていたら不意に手が伸びてきて、レンの金色の髪を撫でる。フワリと撫でる、その手が少し冷たかったから、そのレンの顔を見ているリンの顔が何処か悲しげだったから。
レンは再び、しかし今度はちゃんと己の意思でリンを抱き締めた。
「雨は嫌いだ。何もかも攫っていきそうだから」
「私は大丈夫だよ。何処にも行かないから。ずーっとレンの所にいるから」
「何だし、それ・・・」
「告白ーっ!」
「軽っ!」
「んへへー。レンは少し悩み過ぎなんだよ。雨は何も攫って行かないよ。何も流してくれないし、悪いモノも流してはくれない」
「・・・んな事、知ってるわ」
「でしょうね」
フフ、と少し嬉しそうに笑うとリンはぐりぐりとレンに自分の頭を擦り付けた。その動作が面白かったから。本当はそんな事言うつもりは無かったし、もっとちゃんとした所で言いたかったけど。まぁ、ちゃんとした所なんて実際、無いのだろうけど。
「・・・リン」
「なぁに? レン」
「 」
そう言うとリンの表情は笑顔で染まった。ふと空を見上げると、雨は止み、うっすらと虹が掛かっていた。
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