「がたん、ごとん」と音を上げる
灯の落ちかけた街を背に
昨日のことさえ朧気で
明日も同じ日が昇るのでしょう
知らぬ間にすり減っていく
靴底と皴のついた革
うす寒さ胡麻化すためコートの襟立て
何か忘れて、
何がほしかったんだろう。
知らないことばかりが
ただ増えていく
明日もしも、
僕がいなくなったら
僕みたいな誰かが変わってくれるんでしょう?
すべて忘れてしまえば楽なのに
何か忘れたことだけ
まだ覚えている
「がたん、ごとん」と音を上げて
遠ざかっていく灯を背に
生きる意味など曖昧で
それでも人は生きていく
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